試用期間中の妊娠報告、会社は「社会人として非常識」と退職を迫る 法的に問題ない?
●妊娠を理由とした本採用拒否はできるのか
――本採用を、「妊娠」を理由に拒否することはできるのでしょうか。 男女雇用機会均等法9条3項は、女性労働者が妊娠や出産を理由とした解雇その他不利益取扱いを禁止しています。 また、同条4項は、妊娠中の女性労働者及び出産後一年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、使用者が妊娠等を理由とする解雇ではないことを証明しない限り無効とするとしています。 したがって、「妊娠」を理由とした本採用拒否はできません。 ――相談者はこの後どのように対処すれば良いでしょうか。 これまで述べてきたように、妊娠を理由として本採用を拒否することはできません。会社側の「研修期間中に妊娠することは社会人として非常識」という発言も不当です。 このような会社の対応に対しては、以下のような対処が考えられます。 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)で相談し、指導、援助を受けることができます。 また、労働組合と共に団体交渉等を通して解決を図るということもあり得ます。 もちろん、弁護士に相談し、労働審判や民事訴訟(裁判)を通して解決を図ることも考えられます。 【取材協力弁護士】 中井 雅人(なかい まさひと)弁護士 暁法律事務所 日本労働弁護団、大阪労働者弁護団、大阪弁護士会人権擁護委員会国際人権部会(2020年度より部会長)などに所属。残業代請求、解雇、労災、労働組合事件など労働者側の労働事件に専門的に取り組んでいる。入管事件や名誉毀損・差別問題にも取り組んでいる。