AIで中間管理職を半減--2025年以降にIT部門やユーザーへ影響を与えるトピックス
ガートナージャパンは、2025年以降にIT部門やITのユーザーに影響を与えるというトピックを発表した。ディスティングイッシュト バイス プレジデント 兼 フェローを務めるDave Aron氏は、「どこへ行こうとAIの影響を避けられない。人間のAI活用が進化するにつれてAIも進化し、人間がもはや追い付けないという地点に到達する前に、AIがどれほど人間を向上させられるかを理解しなければならない」と説明している。 同社が挙げたトピックは次の10個になる。 トピック1:2027年までに、新しい従業員契約の70%に、本人のペルソナのAI表現に関するライセンス条項と公正使用条項が含まれるようになる。 大規模言語モデル(LLM)には終了日が設定されていないため、企業のLLMが収集した従業員の個人データが、雇用期間中だけでなく退職後もLLMの一部として残る。そうしたデジタルペルソナの所有権が従業員にあるのか、雇用主にあるのかを問う公共の議論につながり、最終的には訴訟に発展する可能性もある。すぐに訴えられないよう企業を守る目的で公正使用条項が使用されるものの、議論が巻き起こることになるだろう。 トピック2:2028年までにテクノロジーへの没入が「デジタル中毒」「社会的孤立」の形で人々に影響し、結果として組織の70%が「アンチデジタルポリシー」を取り入れる。 2028年までに約10億人がデジタル中毒の影響を受け、それが生産性の低下、ストレスの増加、不安やうつ病などのメンタルヘルス疾患の急増につながる。さらに、デジタルへの没入はソーシャルスキルにも悪影響し、そうした傾向の影響を受けやすい若年世代では特に顕著になる。デジタルへの没入がもたらす孤立は、従業員の分断につながり、企業は従業員による生産性の著しい低下を目の当たりにする。組織は、“デジタルデトックス”の期間を従業員に義務付け、勤務時間外のコミュニケーションを禁止し、「対面会議」「電子メールを使わない金曜日」「ランチ休憩はデスク外で過ごす」などアナログ的な手段を強制的に復活させないといけない。 トピック3:2027年までに医療機関の70%は、テクノロジー契約に感情AI関連の利用規約を含めることになる。さもないと、数十億ドル規模の金銭的損害のリスクを負う。 医療従事者の業務負荷が増大して離職者が増え、患者の要求が増大し、臨床医の燃え尽き症候群率が上昇し、ひいては共感の危機(エンパシークライシス)が生じている。患者データの収集などの作業に感情AIを活用することで、医療従事者の時間を解放し、業務負荷の増大に伴って生じる燃え尽き症候群やフラストレーションを軽減できるようになる。 トピック4:2028年までに大企業の40%は、利益追求の名目で、従業員の気分や行動を操作、測定するためにAIを導入する。 AIは、職場でのやりとりやコミュニケーションに関する感情分析ができる。全体的な感情を望ましい行動に、確実に整合させるためのフィードバックが提供され、動機と意欲のある労働力を得られるようになる。他方で、従業員は(AIにより)自主性やプライバシーの侵害を感じ、不満や信頼低下につながる可能性がある。AIを活用した行動技術の潜在的なメリットは膨大だが、企業は士気や忠誠心への長期的なダメージを避けるために、効率性の向上と本格的な従業員福祉を両立させなければならない。 トピック5:2028年までに米国S&P対象企業の30%は、「xxGPT」といった生成AIのラベルを付けて自社ブランディングを再構築し、新たな売り上げを追求する。 最高マーケティング責任者(CMO)は、生成AIを新商品やビジネスモデルを立ち上げることができるツールと見なしている。生成AIの活用で商品の市場投入を速め、新たな収益源を生み出すと同時に、より優れた顧客体験を提供し、プロセスを自動化できるようになる。生成AIをめぐる競争が激化するにつれ、企業は自社の業界に合わせて調整した特別なモデルを開発し、差別化を図りつつある。