西田凌佑3週間前にあばら負傷「骨は大丈夫だったけど打撲のような形」ぶっつけ本番でKO初防衛
<ボクシング:IBF世界バンタム級タイトルマッチ12回戦>◇15日◇大阪市住吉スポーツセンター◇観衆3000人 王者西田凌佑(28=六島)が、アクシデントを乗り越えてKOで初防衛に成功した。同級14位アヌチャイ・ドンスア(28=タイ)と対戦して5回に右フックでダウンを奪って、7回は左ボディーアッパーをグサリ。7回1分37秒、KO勝ち。試合3週間前に右のあばらを痛めてぶっつけ本番だったが、アマチュア時代を通じて初のKO勝利を飾った。同級4団体ベルトの日本人独占が継続。今後は他団体との統一戦を視野に、ビッグマッチを模索する。 ◇ ◇ ◇ 鮮やかなKOだった。西田は7回、アヌチャイの右ストレートを左に外した。左肩を引いて力をためる。腰を回して、左アッパーを相手の腹に突き刺した。顔をゆがめて倒れた相手を見て、左拳をぐっと握った。過去9勝(1KO)の「1KOコンプレックス」を吹き飛ばすKO初防衛。相手に10カウントを聞かせたのはプロアマ通じ初だった。 「正直倒せてめっちゃ喜んだが、内容はプロキャリアで一番悪い内容だった」 打たせず打つが理想だが、右を振るってくる相手に手を焼いた。5回には右フックでダウンを奪うも、相手の勢いが止まらない。「自分のパンチが大振りになった。今日は倒されるなと思った」。最後は倒したが、傷が残る顔で反省した。 アクシデントがあったのは試合3週間前。スパーリング中に右のあばらを痛めた。「骨は大丈夫だったけど、打撲のような形」。その後は実戦練習を行わず、ぶっつけ本番。距離感が命の西田にとっては大きな不安要素だった。「試合が始まってあばらは大丈夫とわかったが、攻めがうまくいかない。もらいすぎ。判定で勝つよりショック」。 同級はWBC中谷潤人、WBA堤聖也、WBO武居由樹が王座に君臨する。西田のKO勝利で、日本人のベルト独占は継続。「王者で年を越せるのはよかった」とむねをなで下ろした。 自宅に帰れば、生後8カ月の長女の莉奈ちゃんにデレデレの新米パパ。同じ近大で全日本女子を3連覇した妻沙捺さんのサポートを受けてリングに向かう。「バンタム級は盛り上がっているのでファンの方が見たい試合をしたい。このままだと他の王者に倒される。自分もこの階級で一番強いと言われるように。すぐにでも練習して修正したい」。連打の堤、強打の武居、総合力の中谷に対して、技の西田が、統一戦線に向かう。【益田一弘】