【ACL】横浜ホームの後押しで鮮やか逆転勝ち「第2戦も楽しんで」頂点知る指揮官に気負いなし
<AFCチャンピオンズリーグ:横浜2-1アルアイン>◇11日◇決勝第1戦◇日産スタジアム◇5万3704人 【動画】途中出場MF渡辺皓太が逆転弾!1度はオフサイド判定で取り消されるもVARで覆った アジア初制覇を目指す横浜F・マリノスが、ホームでアルアイン(UAE)に2-1で先勝した。警戒していたカウンターから失点したが、後半に立て直した。27分にMF植中朝日(22)が頭で同点ゴールを決めると、40分にMF渡辺皓太(25)が勝ち越し点を奪った。5万3704人の大観衆で埋まったホームの後押しを受け、鮮やかな逆転勝ち。1点のリードでアウェーの第2戦(25日)に向かう。 ◇ ◇ ◇ ため息が大歓声に変わった。後半40分だった。右サイドからY・マテウスがクロスボールを送ると、ファーサイドで宮市が右足でボレーシュート。相手に当たって渡辺皓の元へ鋭く飛ぶと、右太ももで押し込んだ。いったんオフサイドと判定されたが、VARチェックが入る。少し間をおいて、ゴールが認められた。 歓喜の渡辺皓は「当てただけですけど、結果が出て良かった。僕たちの力ではない。マリノスファミリー全員の力が結果としてついてきた」と胸を張った。 厳しい一戦だった。開始から押し込みながら相手の激しい球際に苦しみ、シュートが決まらない。すると警戒していたカウンターから前半12分に失点。続けて30分にもカウンターからゴールネットを揺らされた。会場には悲鳴が上がったが、VARでオフサイドが確認されてノーゴール。それでも、キューウェル監督は「前半から自分たちのサッカーができていた。これを続けることが大事だった」。その言葉通りの展開となった。 アジアNO・1、そして来年6月に開催される第1回FIFAクラブW杯への出場も懸かる大一番だが、チームに気負いはない。指揮官の存在が、選手たちの肩の荷を下ろす。「人生の中でこういうチャンスはそうそう訪れることはない。この瞬間を楽しもう」。自身も19年前、リバプールの選手で欧州CLを制覇。宮市が「僕らの監督がそういう経験をしているのはアドバンテージになる」と言った通り、1点をリードされても「逆転できる」と、じれなかった。 そして「マリノスの強みは選手層の厚さ」というキューウェル監督の采配がはまった。後半途中に宮市、渡辺皓らを投入。ボールをより支配し、クロスが多くなったことで植中の同点ゴールが生まれた。さらに山根、榊原を入れて中盤を厚くしたことで、決勝点につながった。 ACLでは抜群の勝負師ぶりを発揮するが「まだ何も成し遂げていない。90分終わっただけだし、第2戦も楽しんでやりたい」。地に足をつけ、アジアの頂点へと歩みを進める。【佐藤隆志】 ◆アジアチャンピオンズリーグ 国際サッカー連盟(FIFA)が主管のもと、アジアサッカー連盟(AFC)が主催するクラブチームの大陸選手権。03年に従来のアジアクラブ選手権から名称が変更され、各国・地域に与えられた枠内でリーグ戦とカップ戦の上位チームが参加する。 23-24年大会の本戦には40クラブが出場。賞金は優勝400万ドル(約6億2000万円)、準優勝200万ドル(約3億1000万円)、4強に25万ドル(約3875万円)、8強に15万ドル(約2325万円)、16強に10万ドル(約1550万円)。また1試合ごとに勝利で5万ドル(約775万円)、引き分けで1万ドル(約155万円)のボーナスが加算される。 優勝チームは、4年に1度の開催に大型リニューアルされた第1回FIFAクラブW杯(25年6~7月、米国)への出場権を手にする。なお来季(24-25年)から大会方式が「ACLエリート」「ACL2」「AFCチャレンジリーグ」の3層構造に変更され、エリートの優勝賞金は1200万ドル(約18億6000万円)と現行の3倍になる。