巨人代表の解任騒動、球団名「売名行為」と両断…渡辺恒雄氏、球界全体に及んだ威光
読売新聞グループ本社代表取締役主筆の渡辺恒雄(わたなべ・つねお)氏が19日、肺炎のため死去した。98歳だった。巨人を含め、プロ野球界における渡辺氏の影響力をまざまざと印象づけたのが、2011年11月に起きた清武英利球団代表(当時)に対する解任騒動だ。 【写真】長嶋茂雄氏とともに試合を観戦する渡辺恒雄氏 コーチ人事をめぐり、清武氏が「(渡辺氏から)不当に介入された」などとして文部科学省で緊急の記者会見を行うと、球団ではすぐさま「業務の執行に多大な支障をもたらした」などとして、清武氏の球団代表の職務を解任。名門球団で起きた前代未聞の内紛劇はその後、法廷闘争にまで発展した。 清武氏が会見した直後には、渡辺氏は「10人の最高級の弁護士を用意している。法廷なら、わが方の最も得意とするところ。俺は法廷闘争に負けたことがない」などと発言。球団側の正当性を強く主張した。 一連の解任騒動だけでなく、同年にTBSホールディングス(HD)からDeNAへ球団譲渡された際にも、影響力の大きさを存分に示した。 DeNA社が運営するソーシャルゲームサイト「Mobage(モバゲー)」が球団名として当時浮上していたことに「売名行為。野球協約の観点から許されない」などと発言。渡辺氏の発言を受け、DeNAは合意寸前で球団名を「横浜DeNAベイスターズ」に変更した。 影響力の大きさは巨人だけにとどまらず、球界全体にまで広く及んだ。(浅野英介)