メンズウェアD2Cの ローン 、2023年に実店舗数を倍増させた理由:オンライン市場の避けられない課題
この記事は、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です。 D2Cの新興企業の中には、オンラインで顧客を獲得するのが困難になり、今年は実店舗の拡大に積極的な投資を続けている企業もある。 2014年に創設された自称「メンズパフォーマンスアクティブウェアブランド」のローン(Rhone)もそうした企業のひとつだ。同社の店舗数はは、この1年間で2倍以上に拡大した。11月17日金曜日には、ボストンのシーポート地区に15店目を開設したが、これは2023年にオープンした12番目の店舗となった。 実店舗小売の拡大について、今年は明暗がわかれた年だ。2022年を通してD2Cブランドは店舗のフットプリント拡大を積極的に進め、パラシュート(Parachute)やブルックリネン(Brooklinen)などのブランドは店舗のフットプリントを2倍、さらには3倍に増やした。しかし2023年にはベンチャーキャピタル資金が枯渇し、インフレによって消費が抑制されたことから、ルーニャ(Lunya)など一部のD2Cブランドは、高価な小売店舗のリースを締結したことが最終的に破産を招いたと述べるようになった。その結果としてD2Cブランドは現在、実店舗に対してさまざまなアプローチをとっている。ルーニャなどの一部のブランドは、店舗を閉店し、白紙に戻してやり直すことで、実店舗戦略をどのようなものにするべきかを考えている。一方で、ローンのように、今こそが店舗のフットプリントをさらに拡大するときだとみているブランドもある。
オンラインでの顧客獲得コストが急騰
CEO兼共同創設者のネイト・チェケッツ氏によると、ローンの実店舗小売戦略は主に2つの要因によって推進されてきた。まず、すでにローンの買い物客が集中している市場において、顧客と関わるための新しい方法を見つけること。もうひとつは、オンラインでの顧客獲得のコストが急騰し続けるなかで、顧客を獲得するための新しい方法を探すことだ。 ローンにとって、今年は多額の投資の年だった。同社は最大の投資家のひとつであるエル・キャタルトン(L Catterton)の株を買い取り、チェケッツ氏と、共同創設者である兄弟のベン・チェケッツ氏が企業をより細かくコントロールできるようにした。そのあとでローンは女性向け商品ラインを来年立ち上げる準備を進め、実店舗の拡大など新しい取り組みに焦点を合わせるようになった。 チェケッツ氏は、ローンの新しい店舗のリースのいくつかは1年以上前に契約したものであるため、エル・キャタルトンの株を買い取ったことが、店舗を増やすという決定の大きな要因となったわけではないという。むしろ、ローンの実店舗小売のプレゼンスはどのようなものにするべきかを探るために数年を要したと、同氏は語った。