大正から昭和初期のモダンな様式今に伝える大口高校「記念図書館」 木造の高校建造物として県内初の国登録有形文化財申請へ
昭和が続いているとすると、2025年は「昭和100年」に当たる。人とのつながりが密で、ものを大切にしていたあの頃。平成、令和にかけて、ふるさと鹿児島で今なお愛される建造物や老舗を探した。 【写真】1932年に竣工した旧大口中学校の「記念図書館」=伊佐市の大口高校
◇ 伊佐市大口里の大口高校には、1932(昭和7)年に建設された木造の「記念図書館」がある。県立旧大口中学校の創立10周年を記念して造られた。吉満庄司校長(59)は「大正から昭和初期のモダンな建築様式を今に伝える。木造で戦後も残っている建築物は貴重」として、国の登録有形文化財に向けて申請を準備中だ。 旧大口中は22(大正11)年に創立。図書館は10周年記念事業の目玉として32年10月15日に完成した。当初の床面積は約140平方メートルで、戦後の53(昭和28)年には約246平方メートルに拡大。「生徒数が千人を超え、広げたのだろう」と吉満校長は推測する。 校舎内に図書室ができたため、76年からは同窓会館となった。後ろ半分は食堂建設に伴い解体されて106平方メートルになり、今は倉庫として使われている。 県内高校では、鹿児島市の甲南高本館、鹿児島中央高本館・講堂、鹿児島工業高の大煙突の3件が国登録有形文化財となっているが、コンクリートやれんが造り。大口高校が登録されれば県内高校の木造は初めてとなる。吉満校長は「太平洋戦争で空襲に見舞われることもなく、奇跡的に残った。広く知ってもらうとともに著名な卒業生のミニ企画展や地域住民が集える場として活用を検討したい」と話した。
〈企画連載「昭和100年ふるさとのレトロ」①〉
南日本新聞 | 鹿児島