サブスク別荘「SANU」の新建築、北軽井沢「MOSS」を体験 “森に溶け込む暮らし”の醍醐味<後編>
森林に囲まれた新建築「MOSS」の魅力
北軽井沢2ndには、全13棟のキャビンがある。元々は森林だった場所の木を一部伐採するなどして建築物を建てており、まるで森と一体化しているような施設だ。キャビンのすぐ横には、手つかずの自然がそのまま残っている。
SANUが建築において実践するのは、資源の価値を減らすことなく再生・再利用し続ける仕組みづくりを軸に据えた循環型の建築設計を指す「サーキュラー建築」だ。国産木材の活用や建築資材の再活用を可能にする「釘を使わない」工法、土壌への負荷を軽減する高床式建築などを採用し、環境負荷を最小限に抑えている。建築設計施工パートナーは、創業当初からSANUが取引しているADX社だ。
新建築モデルとなるMOSSも高床式建築で、地中に打ち込まれた8本の杭が建築物を支えていることに驚かされた。こうすることで土壌への負荷が小さく、風や水の流れを止めずに建築できる。さらに、建築物を取り壊した際も土壌が元の状態に戻りやすく、数年で豊かな自然が戻ってくるそうだ。
MOSSの魅力は環境にやさしいだけじゃない。真冬はマイナス20度にも冷え込む北軽井沢の気候や豪雪にも耐えられる。屋根の上に3.5メートルの雪が積もっても耐えられるという。約2週間で完成する施工方法も斬新だ。福島にある工場で外壁や断熱、浴槽設備まであらかじめ組み立ててから現場に運ぶことで、短期間での施工を実現している。
木のぬくもりと香りに癒やされる
最大4名まで宿泊できるMOSSは50平米ほどの広さで、大人2人で宿泊するのにちょうどいいサイズ感。天井が高く、天窓が設置されているので開放感がある。木材の良さを存分に生かした建築で、通常の木造建築の木材使用率が約8%のところ、MOSSは39%と約5倍だという。
いたるところに木材が使われていて、それぞれ種類や質感が異なっている。木ならではのぬくもりや香り、落ち着きはSANUの拠点の共通点でもあり、MOSSでの体験価値を引き上げる要素の一つだと感じた。