レバノンに続き「ガザでも停戦を」 米国など調停活発化 イスラエル首相の胸中は
【カイロ=佐藤貴生】親イラン民兵組織ヒズボラと停戦で合意したイスラエル政府に対し、イスラム原理主義組織ハマスとも停戦するよう求める動きが出ている。中東情勢流動化する発端となったハマスとの戦闘を終結させ、地域の安定を回復する狙い。だが、イスラエルのネタニヤフ首相は消極的で、短期間のうちに実現するのは難しそうだ。 【写真】イスラエル軍の空爆で破壊された難民キャンプの学校 イスラエル、レバノン両政府の停戦を仲介した米国のバイデン大統領は26日、パレスチナ自治区ガザで戦うイスラエル軍とハマスの停戦に向け、「もうひと押しする」と述べた。ともに調停してきたエジプトやカタールに加え、トルコとも連携するとした。 一方、ネタニヤフ氏はヒズボラとの停戦に関する演説で、ハマスについては「殲滅(せんめつ)を完了するまで関与する」と述べ、戦闘継続の意思を隠さなかった。 ハマスは昨年10月にイスラエルを奇襲して約1200人を殺害し、いまも約百人の人質を拘束している。ハマスはイスラエル軍のガザからの撤収を停戦の条件に挙げるが、ネタニヤフ政権は早期撤収を想定していないようだ。イスラエル有力紙ハーレツ(電子版)は13日付で、同国軍の司令官らに配布された資料を基に、ガザ域内の少なくとも4カ所に軍が長期駐留できる施設を建設する計画があると報じた。 あるイスラエル兵士は空調やキッチン、シナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)を備えたガザの施設で過ごし、「ヘルメットを脱いで歩き回り、サッカーをした」と話した。同紙は兵士らの証言などから、軍は少なくとも2025年末まではガザに駐留するとの見方を示した。 トランプ氏はネタニヤフ氏に、来年1月の米大統領復帰までにガザの戦闘を終わらせてほしいと話したとされる。トランプ氏の前大統領時代に蜜月関係を築いたネタニヤフ氏がどのような青写真を描いているかは、現時点では明らかでない。