1台の「アイガモロボ」複数田で活用 岡山の満月ファーム
岡山県和気町の満月ファームは、水稲の有機栽培で除草に使うアイガモロボット1台を2枚の水田で利用し、収量や除草回数に影響がないことを確認した。田植え時期をずらして、各田で3週間稼働させた。今年は1台を3枚の水田で利用。農地の集約が難しい中山間地で、アイガモロボの効率的な利用につなげる。 【動画】水田を走行するアイガモロボット アイガモロボは水田内を走って水を濁らせ、日光を遮ることで雑草の繁茂を防ぐ。十分に効果を上げるには、ロボットの利用は1台当たり1枚の水田が基本とされている。一方で中山間地は田1枚の面積が小さく、ロボット導入の費用対効果が上がりにくいとして、複数枚の田での利用を実証した。 ロボットは田植え直後から約3週間、毎日午前6時~午後4時を基本に稼働。水位を7センチ以上に保ち、3メートル間隔で水田を満遍なく走行させた。農研機構西日本農業研究センターなどの試験の一環で導入した、55万円で市販されている井関農機のロボットを利用。衛星利用測位システム(GPS)を基に、設定した範囲を自動で走る。 23年度は「コシヒカリ」の田22アールと「きぬむすめ」の田17アールの2枚で実証。5月下旬から「コシヒカリ」の田でロボットを稼働させた後、6月中旬から「きぬむすめ」の田で稼働させた。結果、10アール当たりの収量は、田1枚にロボット1台を使った前年と変わらず480キロだった。手で除草した回数も年間2、3回で、前年と変わらなかった。 ロボットを本格導入した本年度は、1台を「コシヒカリ」と「きぬむすめ」、中生の「ヒノヒカリ」の3枚の田(計約90アール)で稼働させた。各田での稼働期間は約2週間に短縮した。代かきが不十分でロボットが動かないケースもあったとし、来年度に向け課題を整理していくという。 同センターなどの試験の一環で、NEWGREENなどが開発・改良を進める安価版のロボットも2台試験導入した。同ファームの野上秀樹園長は「中山間地でも米を有機栽培しやすい技術を確立していきたい」と意欲を示す。 (西野大暉)
日本農業新聞