現在育休中ですが、復職後も「保育園の送迎」などでフルタイム勤務は難しいです。会社から「時短勤務は難しい」と言われていますが、何か良い方法はないのでしょうか?
短時間勤務制度は多くの会社で導入が進んでいる
厚生労働省の調査によると、短時間勤務制度の導入状況は図表1の通りです。法律で定められた期限・期間を超えて利用できるようにしている会社も、多数あることがわかります。
■図表1 育児短時間勤務を導入している事業所の割合(%)
■図表2 短時間勤務の利用可能期間(%) 厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」結果概要より筆者作成
不利益取り扱いは禁止されている
会社は、所定労働時間の短縮などを申し出たり取得したりしたことを理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはいけません。 これは育児休業、産後パパ育休、子の看護休暇、時間外労働の制限・深夜業の制限についての申し出、取得などについても同様です。
会社が「育児短時間勤務」に消極的ならこのように対応しよう
会社が「育児短時間勤務」について業務の性質上、難しいとするのであれば、次のように対応しましょう。 まずは当該業務が「労使協定」において「実施が困難な業務」として定められているかを確認してください。現場管理者などが「実施困難」と思い込んでいるだけという可能性もあります。労使協定もないのに、会社が勝手に実施困難業務と定めることは許されません。 次に、労使協定にて実施困難業務とされている業務に該当するなら、代替措置について相談してください。フレックスタイム、始業・終業時刻の変更、保育施設やベビーシッター派遣などです。前述したように、2025年4月からはテレワーク導入も選択肢になります。 その際には、現在すでに多くの企業で、育児短時間勤務制度が導入されており、法律で定められた期限・期間を超えて利用できるようにしている会社も多数ある、ということも補足して伝えてみてもいいかもしれません。
まとめ
会社に育児短時間勤務を断られた場合、まず労使協定などでどのように定められているかの事実確認をすることが必要です。担当業務が、本当に労使協定において「育児短時間勤務」ができない業務に該当しているなら、代替措置について会社としっかり交渉してみてください。 これは法律で定められた労働者の権利です。遠慮する必要はありません。このような相談をすることや、実際に措置を取得することについて、会社が不利益な取り扱いをすることは禁止されています。 制度の内容を知って勇気を出して会社と相談することが、自身のみならず職場の仲間が短時間勤務制度を活用するきっかけにもなっていくでしょう。 出典 e-Gov法令検索 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 厚生労働省 育児・介護休業法のあらまし(令和6年1月作成) 厚生労働省「令和4年度雇用均等基本調査」結果概要 執筆者:玉上信明 社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー
ファイナンシャルフィールド編集部