中国に「き然とした態度を示す」……海自護衛艦、台湾海峡を“初通過” 背景に威圧的な軍事活動 専門家「中国はなめていた」
日テレNEWS NNN
自衛隊の船が25日、初めて台湾海峡の通過に踏み切りました。これまで日本は中国側に配慮して控えてきましたが、転換しました。領空侵犯など中国が軍事的な圧力を強めていることが背景にあります。中国側は「レッドラインだ」と抗議。緊張が高まっています。 【画像】ドイツ軍の艦艇、台湾海峡を22年ぶり通過 中国は強く反発
■「レッドラインだ」…中国が強く反発
藤井貴彦キャスター 「中国政府が日本に強く反発しています。中国外務省の報道官は会見で『台湾問題は、中国の主権と領土を守ることや中日関係の政治的な基礎で、越えてはならないレッドラインだ』と述べました。日本に抗議したということですが、何が起きているのでしょうか?」
■米など、台湾海峡は「国際水域」と主張
小栗泉・日本テレビ解説委員長 「中国がこのように反発しているのは、日本の海上自衛隊の護衛艦『さざなみ』が25日、自衛隊の船として初めて台湾海峡を通過したことが分かったからです」 「この場所は、アメリカなどはどこの国の領海でもなく船が自由に行き来できる『国際水域』だと主張し、艦船をたびたび通過させています。対する中国は、『台湾は中国の一部だ』として、通過するたびに反発しています」 「日本はこれまで中国に配慮し、自衛隊の船が台湾海峡を通らないようにしてきましたが、官邸を中心として政府が検討した結果、今回初めて通過することを決めたといいます」
■中国の軍事的な圧力強化が背景に
藤井キャスター 「なぜこのタイミングで初めて通過することを決めたのでしょうか?」 小栗委員長 「背景には、中国の威圧的な軍事活動が活発になっていることがあります。8月には、中国軍機が初めて日本の領空を侵犯したことが確認され、9月に入ってからも中国の空母が日本の領海に接する接続水域を航行するなど、軍事的な圧力を強めています」 「また、9月25日には訓練用の弾頭を搭載したICBM(=大陸間弾道ミサイル)を太平洋に向けて発射しました」
■日本政府の狙い、専門家の見解は?
小栗委員長 「日本政府の関係者によると、今回自衛隊の護衛艦が台湾海峡の通過に踏み切ったのは、日本の主権を脅かす中国軍の活動にき然とした態度を示すためだということです」 「中国に詳しい神田外語大学の興梠一郎教授は『これまでは“やられっぱなし”だったことを思うと、日本として一歩踏み込んだ大きな決断。中国は、日本は商売したいから事を荒立てないだろうと、なめていたと思う』と話しています」