<周永康氏逮捕>中国国有企業と党幹部の強いつながり 習政権が反腐敗運動を掲げる理由
中国の“特色ある法治”
しかし、習近平政権の「法治」や反腐敗キャンペーンに疑念を呈する見方も一方に存在します。「腐敗には厳正に対処する」と言いながら、実際には、習近平氏や現政権に近い勢力は摘発の手を免れています。つまり、反腐敗キャンペーンは権力闘争の道具としても使われているのです。 さらに問題なのは、「法治」といっても、党が法より上位にあるという原則は変わっていないという点です。それでは、現在の腐敗政治家や官僚を排除した後にも、結局、別の人が同じように汚職に手を染める構図は変わりません。 中国の法学者に「習近平政権の“法治”はどのような意味を持つのか」と尋ねると、彼らは皮肉たっぷりに「“中国の特色ある法治”ですよ」と話していましたが、党の支配に対する民衆の支持を獲得し、経済発展方式の転換を実現するためには、「中国の特色ある法治」では不十分ではないかという懸念は拭えません。 (前田宏子/PHP総研 国際戦略研究センター主任研究員)