職場の「体臭」指摘はパワハラか? 「自覚ないのに…」頻繁に臭いを指摘され、苦悩する男性も
フリーアナウンサーの女性による「夏場の男性の体臭」をめぐるXへの投稿が大きな賛否を呼んだ。体臭に関するトラブルは職場でも起きているようだ。 弁護士ドットコムには、上司から頻繁に「臭い」と指摘されている従業員からの相談が寄せられた。 従業員によれば、この上司からは、2週間に1回程度のペースで、「朝昼2回着替えろ」「いい加減にして」などと指導を受けているという。 ただ、毎日の入浴、洗髪、服の交換といった「最低限のエチケットには気をつけている」という従業員は、臭いに自覚はない。 しかし、もしかすれば自分に非があるのではないかと考えて、具体的な指摘を求めたところ、『苦情が来ているから何とかしろ』と言われるばかりで、臭いの種類や頻度などは伝えられないため、これ以上は自ら効果的な対策を取れないという。 また、「毎日入浴している」と答えても、かつてのミスを引き合いにして「お前は嘘付きだから信用できない」とも言われたそうだ。 「指導に非常に傷付いており、仮に私に非があるとしても続くのは辛い」と落ち込む従業員は、このような指導がパワーハラスメントにあたるのか知りたいと考えている。西山良紀弁護士に聞いた。
●業務に支障を及ぼす体臭の従業員に改善を求めること自体は「パワハラではない」
―体臭がありながらも自覚のない従業員に、「臭い」と指摘するのはパワハラでしょうか まず、飲食店など接客業の場合、従業員の体臭に問題があるときは、業務の一環として体臭の問題を解決する必要があります。また、接客業でなかったとしても、会社には従業員に対して働きやすい労働環境を提供する義務があるので、体臭が他の従業員の業務の支障となるときは体臭の問題を解決する必要があります。 よって、業務に支障が生じるような体臭であれば、会社が従業員に体臭がする事実を指摘して改善を求めること自体は違法行為(パワハラ)には該当しません。
―自覚がないものの、体臭の苦情が職場内外から寄せられている従業員に対して、どのように改善をうながすとよいでしょうか。 体臭は極めてデリケートな問題であり、体臭の事実を伝えたり、改善の指導をしたりするには、従業員本人をできる限り傷つけないように細心の注意が必要です。 会社側としてどう対応すればよいかは、それぞれの事情によって異なるので、一概にこうすればよいということはできません。ただ、少なくとも以下で述べるような点には配慮したほうが良いと思います。