職場の「体臭」指摘はパワハラか? 「自覚ないのに…」頻繁に臭いを指摘され、苦悩する男性も
●必ずしも伝えるべきか? そして指摘の際の「配慮」を考える
まず、体臭を指摘し改善を促す必要があるかどうかを判断するために、本当に従業員からひどい体臭がしているかどうかを確認します。体臭が軽微で業務に支障を及ぼさないのであれば、従業員本人に体臭のことを伝える必要はありません。 次に、改善を促す必要があると判断した場合には、周囲に人がいない環境で、従業員本人と話し合いをします。また、言葉の選択を間違えると、指摘を受けた従業員本人は人格を否定されていると受け取ってしまう可能性があるので言葉遣いには細心の注意を払わなければなりません。 そして、従業員本人との話し合いで、体臭の原因がストレス、病気、体質など本人では対処が難しいものなのか、それとも「お風呂に入っていない」「洗髪していない」「歯磨きをしていない」「服が異臭を放っている」といった本人でも対処が容易なものなのかも考えながら、具体的な改善方法を検討・指導していくとよいのではないでしょうか。
●体臭がないのに感情のままに「臭い」と指摘するのは「もはや論外」
―改善の意思を示している従業員に、適切な情報を与えず「苦情がきているからなんとかしろ」とだけ指導したり、実際には体臭がないのに感情のままに「臭い」と指導したりすることは問題でしょうか。 本件のように、従業員本人に改善の意思があり具体的な指摘を求めているにもかかわらず、臭いの詳細についての説明や具体的な改善策を協議することなく「苦情が来ているから何とかしろ」「朝昼2回着替えろ」「いい加減にして」と繰り返すだけの指導や「お前は嘘付きだから信用できない」などと人格否定の言葉を投げかけることは違法行為(パワハラ)に該当する可能性が高いと思います。 実際にはひどい体臭がないにもかかわらず感情に任せて「臭い」と指導することは論外であり違法行為(パワハラ)に該当します。 今回の記事の解説を作成しながら、昔、ハウスメーカーで営業をしている人から「顧客の家で打ち合わせをすることが多いので営業車両にカッターシャツと靴下を複数常備している」と聞いたことを思い出しました。 当時は、営業を頑張っている人はやはり意識が高いのだなと感心するだけでしたが、現在、私も40代半ばになりもっと自分の臭いに注意していかなければならないなと思いました。