住友金属鉱山、LIBリサイクルプラント建設。サプライチェーン構築に向け協定締結
住友金属鉱山は28日、東予工場(愛媛県西条市)とニッケル工場(愛媛県新居浜市)内に、使用済みのリチウムイオン二次電池(LIB)などから銅、ニッケル、コバルト、リチウムを回収するリサイクルプラントの建設を決定したと発表した。2026年6月の完成を予定する。設備能力(原料処理量)はLIBセル換算で年間約1万トンを計画する。また、同プラント建設に合わせ、使用済LIBリサイクルのサプライチェーン構築に向けたパートナーシップ協定を主要リサイクル事業者9社と締結した。今後は各社と協力しながら使用済LIBの集荷体制に関する検討を加速させる。 今回建設するLIBリサイクルプラントでは、乾式製錬と湿式精錬を組み合わせたプロセスを採用し、不純物含有量の多い使用済LIBも効率的に処理できる。今後予想される使用済LIBの発生量増加への対応や、23年8月に発効した欧州電池規則が定める金属回収率・リサイクル材含有率への対応を見据えた設計としている。また、CO2発生量を抑えるための独自技術を織り込んでおり、カーボンフットプリント低減に向けてさらなる技術開発・最適化を進める。 今回導入するプラントは、乾式工程は東予工場内、湿式工程はニッケル工場内にそれぞれ建設する。既存の設備を活用しながら効率的にLIBリサイクルするための設備を導入する。同プラント建設に当たっては新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から公募された「グリーンイノベーション基金事業」の支援を受ける。 LIBリサイクルのサプライチェーン構築に向けたパートナーシップでは、原料集荷面での協力などを検討している。同協定は、エムエム建材、オオノ開發、山陽レック、東邦亜鉛、DOWAエコシステム、豊通マテリアル、日本磁力選鉱、日本リサイクルセンター、松田産業の9社と締結した。 同社は、使用済LIBとその製造過程で発生する中間物に含まれる金属を電池材料として再資源化する「電池to電池」リサイクルの実用化に取り組み、22年には関東電化工業との共同開発で銅、ニッケル、コバルト、リチウムを回収・再資源化するLIBリサイクル技術を確立している。