雨傘を「コウモリ」、雨着を「かっぱ」と呼ぶのはなぜ? 梅雨時期に知りたい 雨具の名前の由来とは
梅雨のシーズンが本格化。外出時に雨具が手放せない時期がやってきました。雨具の代表といえば傘。「コウモリ傘」と呼ぶことがありますが、なぜコウモリなのでしょうか。また、レインウェアを「かっぱ」や「雨がっぱ」といいますが、その由来とは? 日本古来の伝承や風習、先人の知恵など諸説に着目するこの連載。今回は、雨具のコウモリやかっぱについて紹介しましょう。 【画像】古くから伝わる「やってはいけない言い伝え」一覧 ◇ ◇ ◇
洋傘を開くとコウモリに似ていたことが由来
古くから日本には、雨や雪、日光などが当たらないよう頭にかぶる道具として、イグサやヒノキなどで作られた笠がありました。柄のついた傘はもともと、貴族など地位が高い人に従者が日除けや魔除けとして差しかける、大きな「差しかけ傘」が主流だったようです。小ぶりで実用性のある和傘が広まったのは、12世紀以降とみられています。 和傘は、竹や木、糸などを材料にした骨組みに和紙を張り、植物油を引いて防水を施したものです。自由に開閉できる和傘が作られるようになったのは、器具が開発された江戸時代になってから。和傘には番傘、蛇の目傘などがあり、人々の生活必需品として親しまれていったそうです。 また、日本独自の特徴として、傘は雨や日光を除けるだけでなく、魂や神様が降りてくる依り代とも考えられてきました。現代でも、神様への感謝や五穀豊穣、先祖供養を目的に寺社で開催されるお祭りの多くに傘が登場するのは、このためだといわれています。 和傘に対して、洋傘が西洋から入ってきたのが19世紀頃。洋傘は「アンブレラ」、または「蝙蝠(コウモリ)傘」と呼ばれました。コウモリといわれた理由は、開いた際の黒い傘骨と布の様子が、コウモリの飛ぶ姿を連想させたためと伝えられています。また、人間の最も大切な頭上に掲げることを「こうむる」とし、「こうむり傘」という名称が関係しているとの見方もあります。 今では、お手頃価格でカラフルなものが売られていますが、コウモリ傘が日本に持ち込まれた当初は高価でした。一般庶民は手が出せない代物だったそうです。