どれが「鯖(サバ)」か分かりますか?今さら聞けない「刺身の種類」の見分け方
アジは透明感のある身と控えめな血合いで見分ける
そして、アジ(マアジ)。尾の付け根の側面にとげ状のかたいウロコがある。「ぜいご」や「ぜんご」などとも呼ばれるが、正式名称は「稜鱗(りょうりん)」だ。 アジには、主に沖合を回遊し全体的に黒っぽい色をしたクロアジと、沿岸部の浅場にすむ=瀬付きの、黄味がかったキアジがある。キアジの方が脂がのって美味と評価され、鹿児島県の「出水の黄金アジ」などは、とんでもない旨さ。新鮮なアジを刺身にすると、断面のエッジがきれいに立つ。身に透明感があり、血合いも上品で控えめだ。
地球温暖化とサンマ漁、日本の漁業の未来
食欲の秋が到来しつつある。すべての魚種に当てはまるわけではないが、夏の間に痩せた魚の多くは、秋にかけて栄養を蓄え、おいしくなるから楽しみだ。台風によって海水がかき混ぜられ、栄養が豊富な水が表層に上がり、魚の食べ物が増えることも一因とされる。 さて、今年はサンマが豊漁という報道があったが、「特定の漁場で、魚が多くいる群れが見つかったとか、複数の群れが同じ場所にも集まったとか、そうした偶然により大量に獲れたというだけのことでしょう」と野本氏は述べる。回転ずしで「サンマの握り100円!」を期待していたが、どうやら難しそう。 そして、「資源量は増えていないので、豊漁だから安くなるという期待はできないかもしれません。根室あたりでたくさん獲れたけど、天候のために豊洲に送れず、地元で安値で取り引きされただけという事情もあります」と続ける。 また、これまでだったら小さすぎて、見向きもされなかったサイズのものが水揚げされるようになっているんだとか。かつてであれば、漁師さんが「売っても燃料費にもならない」なんて言っていたかもしれないレベルのサイズのものも。 「5、6年前くらいまでは、刺身でも焼いても、何してもおいしいサンマは少なくなかったんですが。身には、真っ白な雪のような脂肪がついて、厚さ5ミリに達することだってありましたね」と野本氏は嘆く。これから北海道の道東沖でサンマ漁が本格化するはずが、地球温暖化の影響で海水温が上昇し、サンマの南下のタイミングが遅れていることが懸念されていると聞く。こうした変化に対応しながら、漁業の持続可能性を確保するための取り組みが求められている。 <取材・文/木村悦子 取材協力・羽田市場> 【木村悦子】 フリーの編集者・ライター。出版社勤務後、編プロ「ミトシロ書房」を創業。実用書やガイドブックの企画・編集を行う傍らで、Webライターとしても活動。飲食・日本文化・占い・農業など、あらゆることに興味があるが、生き物が大好きすぎて本も書く。『日本で会えるペンギン全12種パーフェクトBOOK』、『ラッコBOOK』を執筆。
日刊SPA!