希少種の事故防げ ドライバーに注意呼び掛け 奄美大島
鹿児島県の奄美大島と徳之島だけに生息する国の特別天然記念物アマミノクロウサギなど野生動物の交通事故防止を訴える街頭キャンペーンが27日、同県の奄美市名瀬であった。奄美大島ではクロウサギのロードキル(交通事故死)件数が5年連続で過去最多を更新している。クロウサギの活動が活発になる繁殖期を迎え、環境省奄美野生生物保護センターは夜間の運転に特に注意を呼び掛けている。 アマミノクロウサギは夜行性で、見通しのいい河原や道路上などでふんをする習性がある。マングースの根絶成功や野生化した猫(ノネコ)の捕獲が進んだことで生息状況が回復している一方、近年はロードキルが急増している。環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠB類。 街頭キャンペーンは、クロウサギの繁殖時期に合わせて環境省が毎年生息地周辺で実施する活動の一環。27日は奄美市名瀬のガソリンスタンドに官民の関係者10人とマスコットキャラクター「あまくろ」が立ち、給油中の利用者や道行くドライバーらへ事故防止を訴えた。けがをした野生動物を病院に搬送するための「どうぶつレスキューボックス」についての啓発も行った。 環境省によると、2023年に奄美大島で発生したクロウサギのロードキル件数は147件。24年は9月26日現在で79件。鈴木真理子希少種保護増殖等専門員は「これから事故が増える時期。暗くなるのも早くなってきたので、運転には特に注意してほしい」と話した。 同省は11月ごろまで島内のガソリンスタンドなどで啓発運動を展開する予定。