70年ぶり国内感染の「デング熱」とは どう感染が広がった?
■秋には終息に向かう?
すでに国内で感染例が出てしまったのは事実です。今後は、感染が広がらないようにすることが重要になってきます。今後の感染拡大の危険性について、田瑞穂・自治医科大学医学部感染免疫学講座医動物学部門助教は一般社団法人サイエンス・メディア・センターを通じて次のようなコメントを発信しています。 「デング熱患者が今後2週間以内に報告されることはあっても、秋を迎え蚊が減少することと、々木公園や新宿御苑をはじめ、感染蚊が生息すると考えられる施設への立ち入り禁止措置による現場の人口圧減少により、今回のデング熱感染は終息すると考えます」
■海外からの感染症対策は?
海外から持ち込まれた可能性の高いデング熱。国外由来の感染症はほかにもあります。空港や港湾ではそれらをチェックする検疫所もありますが、日本政府観光局(JNTO)による昨年の訪日外国人旅行者数は約1036万人にのぼります。このすべてを検疫所でチェックするのは至難ですし、日本では検疫をすり抜けて感染症がはいった後の対策システムは諸外国に比べて必ずしもすぐれているとはいえません。 「たとえば、台湾はWHO(世界保健機関)に加入していないということもあり、防疫の体制はかなりしっかりしています。2002年にSARS(新型肺炎)が中国で起きてからは、防疫のコマンドセンターを作り、入国状況をすべてモニターして把握しています。空港のフィーバーサーベイ(体温調査)も一定期間録画して残しています。また、中国や日本、香港など隣国の情報もチェックし、感染症のニュースがあったら全部保存するなどしているのです」(高崎室長) 日本は観光立国を目指し、訪日外国人の誘致にも力を入れています。しかし、訪日外国人が増えるということは、国内に存在しない感染症が持ち込まれる危険性も増すということでもあります。 検疫システムを強化して、感染症を水際で阻止するとともに、仮に国外から感染症が持ちこまれたとしても、それがパンデミック(感染拡大)につながらないようにすばやく対応する仕組みを強化することも大切だといえるでしょう。