40代エンタメライターの心に刺さった国内ドラマ5作!「好きなドラマがあれば、毎日はちょっと楽しくなる」【エンタメベスト2024】
2024年もいろんなドラマがありました。今回は、その中から僕の心に強く残った5本のドラマを紹介します。 【動画】中沢元紀×小林虎之介出演、同級生2人のヒューマンラブストーリー『ひだまりが聴こえる』予告 ただ、それを読む前に一つお伝えしておきたいことがあります。僕自身がそうなのですが、こういうランキングを見るとき、自分の好きだった作品が入っていないと、つい傷ついてしまうのです。僕の好きな作品は、世の中から見たらあまり価値がないものだったのかと、自分の好きが否定されたような気持ちになってしまうのです。 でも、どうか誤解しないでください。この世界には、たくさんの好きがあります。そして、その好きはみんな違って当たり前。特にこれだけエンタメが多様化している時代です。その人の年齢や置かれている社会的状況、悩みや関心によって、心に突き刺さるものは違います。 だから、どうか自分の好きを守ってください。自分の好きを、自分で安く見積もるようなことはしないでください。 その上で、もし僕の好きが、まだあなたの知らないものだったら、よければちょっと覗いてみてください。好きが増えると、世界の見え方が変わってくる。好きが増えると、人生が楽しくなる。 そんな新しい好きのきっかけになることを願いながら、僕の好きをお届けしたいと思います。
5位『団地のふたり』
私たちには、明日を生きぬく図太さがある 日本は、普通の中年女性を主人公としたドラマが少ないと言われています。あったとしても、やり手の弁護士とか、型破りの医者とか、いわゆるスーパーウーマン系。普通の50代の日常は、物語にならないのだろうか。私たちはいつの間にか主人公ではなくなってしまったのだろうか。 そんな寂しさを軽やかに吹き飛ばしてくれたのが、『団地のふたり』です。主人公は、幼なじみのノエチ(小泉今日子)となっちゃん(小林聡美)。独身、子なし、今は生まれ育った団地暮らし。ノエチは、薄給の非常勤講師。なっちゃんは、仕事が下火のイラストレーター。他人から見たら“パッとしないおばさん”かもしれない。 でも、気心の知れたふたりが時にケンカもしつつ、お互いを心の休憩所にしながら日々を生きていく姿を見ていると、パートナーがいなくても、仕事がどんづまりでも、笑って楽しく生きていけるんだと、なんだかちょっと目の前が開けたような気持ちになる。 ふたりの日常に、大きな事件は起こりません。フリマアプリで不用品を売ってひと儲けしたり、近所の女の子の性教育にアタフタしたり、その程度。でも、そのなんでもない日常こそが尊いのだと、『団地のふたり』を観ていると感じます。それは、この物語の根底に、せつなさと喪失感が流れているから。 子どもの頃に死別した友人。避けることのできない老い。安住の場所も、いつかは消えてなくなるという現実。のほほんとした日常に、いつもかすかな影がちらついている。でも、それが生きるということ。 きらめくような少女時代も、笑い話にしかならないようないくつかの恋も、底を知らない不景気も、全部くぐり抜けてきた私たちには、明日を生きぬく図太さがある。これまでの自分がちょっといとおしく、これからの自分がますます頼もしくなる、温かな中年賛歌です。 『団地のふたり』一挙再放送NHKBSにて、一挙再放送。 12月28日(土) 午前9:30~(第1~5回) 12月29日(日) 午前9:30~(第6~8回) 12月30日(月) 午前10:30~(第9、10回)