引退会見で誕生日ケーキを前に笑顔を見せる大橋悠依＝東京・内幸町（撮影・中井誠）

競泳女子個人メドレーで21年東京五輪200、400メートル金メダルの大橋悠依（イトマン東進）が18日、東京都内で引退会見を開き競技人生を振り返った。2023年秋にはこのタイミングでの引退を決めており「冬はすごく練習がきつくて、冬をこえるのはあと1回と思わないと心がもたないと思った」と明かした。 10月からはイトマンスイミングスクールの特別コーチに就任しており、同スクール総監督となり長年指導を受けた東洋大の平井伯昌監督らと後進の育成に力を注いでいく考え。パリ五輪ではメダル1個と日本水泳界は苦しい状況だが「メンタル面、試合でどういう気持ちで挑んでいたかとか経験を通して話すことはできる。今後五輪に出場して金を目指す選手を出して行きたい」と意気込んだ。来春には大学院に進学してスポーツ栄養学も学ぶ。「メディアにも積極的に出ていきたい」とお茶目な笑顔を浮かべる場面もあった。 平井氏も会見に同席。「困難のあとに素晴らしい結果を出す選手。12年のJO（ジュニアオリンピック）で個人メドレーを泳ぐ姿を見て、私の中でビビッと来るものがあった」と懐かしい出会いを明かした。 この日は大橋の29歳の誕生日。「もう29歳か」としみじみつぶやいたが、ここからまた新たな人生の一歩を踏み出す。会場に足を運んだ記者や関係者ひとりひとりに「感謝」とプリントされたどら焼きを手渡しし「本当に充実していて大満足の水泳人生でした」と満面の笑みを浮かべた。