多様化する海外旅行を支えるエクスペディアのテクノロジー戦略
海外旅行のスタイルが変わりつつある。理由の1つは、スマートフォンの普及。いつでも、どこでも気が向いたときに旅先を選び、ホテルやフライトなど簡単に予約することができる時代になってきている。もう1つは、LCC(ロー・コスト・キャリア)の参入。2007年にジェットスターなどが日本市場に参入し、手頃な価格で海外旅行を楽しむことができるようになった。そういった『旅行の変化』の一躍を担っているのが、旅行を扱うウェブサイトのエクスペディアだ。市場調査会社のユーロモニター(英国)が行った2013年の世界の旅行会社の取扱額ランキングで、エクスペディアは見事1位(取扱額は394億4300万ドル)。そのアジア地区のマネジメントを行っているAAE(エアアジア・エクスペディア:本社はシンガポール)のCEO、キャスリーン・タン氏に、エクスペディアの強さ、ビジネスプランについて話を聞いた。 旅行業界だけでみると、前年比で大きな伸びがあったわけではない。その中で、オフラインからオンラインへと劇的に市場がシフトしている。「過去18ヶ月、急激に業績は成長しています。前年比で150%程度の成長がある。(海外旅行をする)世代交代がその原因で、ITに明るい世代が旅行をする時代になってきました」とタン氏は分析する。 これまでの旅行といえば、代理店の窓口で日程、フライト、ホテルなどの提案を受けてプランを決めることが主流だったが、“IT世代”は、インターネットを駆使して、自分たちの好きなプランで旅行を選んでいる。近年のスマートフォン(スマホ)の普及でその傾向は顕著となっている。「航空券だけで買う人、ホテルだけ予約する人、パッケージツアーとして予約する人など、さまざま。自由な組み合わせで旅行を計画している。また、スマホでいうと、トラフィックが大幅に伸びている。エクスペディアでいえば、アプリを使った旅行予約が非常に伸びていて、“IT世代”がアプリを活用し、旅行を楽しむ時代になっている」(タン氏)と、若い世代が“次の旅行”を創造している。