多様化する海外旅行を支えるエクスペディアのテクノロジー戦略
こういった旅行の多様性の背景には、選択肢が増えたことも要因として挙げられる。LCCが参入、成長したことで、予算の少ない若い世代が気軽に海外旅行できるようになった。「LCCは、アジアでは成功しないと言われていた。もともと、この市場にいたユーザーをLCCへシフトさせることはできないと。それでも、エアアジアの例でいうと、海外旅行が新しい世代に受け入れられたことで、成功することができた」(タン氏)。若い世代が、LCCの躍進を後押しし、また彼ら自身がLCCを利用して手頃な価格で旅行を楽しんでいる。 一方で、エクスペディアにとって既存の旅行代理店は競合ではないという。「例えば、JTBを利用しているユーザーを、エクスペディアにシフトさせようとは考えていない。自分たちのターゲットに合うユーザー、若い世代のユーザーの獲得を目指している。JTBの商品もエクスペディアで取り扱っているので、競合ではなくパートナーと考えています。LCCも同様に新しい世代をターゲットと考えている。インターネットに慣れている世代をいかに取り込むか。そういった世代を確実に獲得しなければいけない」(タン氏)と、“IT世代”がターゲットならではの戦略を描いている。 エクスペディアの強みは、高いテクノロジー力にある。自社に、数万人ものエンジニアを採用し、日々、ユーザビリティの向上に努めている。今年9月時点で、世界で3200万ダウンロードを誇るアプリでは、ユーザーがいかに、簡単に利用できるか、を追求している。Eコマースと同じで、簡単に旅行プランを検索して次のステップにいけるか、そこから多くの情報を出すか。それが大事。予約した後も、ホテルのチェックアウト時間をプッシュしたり、旅行の前日にアラートを出したり、予約だけじゃなく、旅行中も使えるアプリを目指している」と、これまで以上に安心して旅行を楽しめるよう、高い技術を提供している。