「息子が同性愛者かも。心がけるべきことは?」トランスジェンダーのIVANが語る親のあるべき姿|STORY
目に見えないところで認められていたのも自信の一つだったかな
小学2年生のクリスマス、ママから「サンタさんに欲しいもの手紙に書きなさい」と言われて、お兄ちゃんは車を、私は、すごく欲しかった“ティモテ”というリカちゃん人形をお願いしたの。サンタさんからのプレゼント、ティモテをもらえて本当に嬉しかった!サンタにお願いすれば叶うんだ!って思ったわよ。ポワトリンのへんしんステッキももらったしね。 ただママが人前で買うことはなかったかな。“将来どう選ぶかは自由だけれど、社会的には今は男の子、天使や目に見えないものには女の子と認められているよ”ってアメとムチのスタンスだった。でも外でリカちゃんで遊んでいると、バカにされたりするのよ…私なんて「オカマ」「外人」って、ダブルでいじめられてた。家の中では、ママは普通に接してくれていたから、(他の子はリカちゃんで遊べないんだ、かわいそう)くらいにしか思ってなかったけれどね。
無理やりなカミングアウトはNG!余計なお世話かもよ
あれ?うちの子ゲイかな?と思っても、「好きな人いるの?」とか、直接的な言葉は私なら使ってほしくないな。あと、小さいとき同性が好きだったとしても、変わることもあるから、親が先回りする必要も必ずしもないと思うの。余計なお世話はせず、放っておくのがいい。私は、男の子としての生き方も自然なルールと思っていたけれど、メンズモデルになって男らしさを全面に出さなきゃならない環境に精神的に参ってしまって…。 「女の子になるために体を変えようと思う!」とママに話したら、「なんだー!決めるの遅かったねー。娘ができるの楽しみにしてるよ」って受け入れてくれたの。私、大号泣よ。ママ、その言葉を発する準備はずっとしていたみたい。ポジティブな方向に考えられるようにするには、それが自然だと思うメンタルを作るしかないのよね。育てるって、その子と向き合うことなんだと思うんだけれど、その前にまず自分と向き合わないと。言うこともブレちゃうかもしれないもの。
1人の女性として輝く場所を
私がTV出始めの頃は、まだコンプライアンスが厳しくなる前だったの。私みたいなタイプは、イロモノとして扱われていたよね。でも、私の“女の子としての生き方”を支持してくれる子たちに、いいロールモデルとしてありたいと思ってからは、仕事は選ぶようになった。 この何年かで日本のセクシャルマイノリティへの偏見はだいぶマシになってきたかもしれないけれど、でもまだ、“流行り感”は拭えないと思う。特別ではなくもっと普通になればいいよね。きれいなトランスジェンダーとして、私はいろんなことを開拓していければいいなと思うの…。もしあなたのお子さんがその道に進む可能性があるのなら、1人の女性として輝ける場所をその子たちのために作っていきたいな。 サムネイルデザイン/mambo西岡(ma-h gra) 取材/竹永久美子