受験失敗しても「おめでとう」秘密は母の“超ポジティブ”子育て術 22歳の諸沢莉乃さんが「ココイチFCの新社長」になるまで
“出来る先輩”を丸パクリ
全身全霊で自分の全てを肯定してくれた母。こうして、無事高校に進学した彼女が偶然出会ったのが、後の運命を変える「ココイチ」の求人募集だった。 面接には、なんとか受かったものの、何か一つしていると、もう他には何もできない有様だった。その時聞こえてきたのは 「諸沢さんって、声はよく出てるんですけど、周りが見えないんですよね」「笑顔はいいんですけどね」という店長とスタッフの声だった。 諸沢社長: 「あの子、声は出るんだけど、周りが見えないんだよね」って。店長がこっちで言ってるのを私聞いてて。悔しいと思いながら。 けれど、どんなに悔しくても決して落ち込まないのがお母さん譲りのたくましさだ。 諸沢社長: ひたすら真似してた。こうなりたいって思って、その人のことをよく観察して、まねをしてた。ただ、それだけです。 諸沢社長は、周囲から尊敬される“出来る先輩”を見つけると恥も外聞もなく、その人の視線から、口癖、行動パターンに至るまですべてを“丸パクリ”した。それは、かつて母をまねた時のように…。 諸沢社長: まねしたらいいことってあるんだとか、まねしたら違う自分になれるんだとか、そういう経験が過去にあるから。
“ポンコツバイト”も褒めて伸ばす
“いいことなら全て吸収してしまう”異様な素直さでメキメキと接客技術を身につけていった諸沢社長は、高校卒業後もフリーターとしてココイチに残った。やがて、バイトを指導する立場になると、その指導で悩めるアルバイトたちを次々と生まれ変わらせていった。 その一人が、自他共に認める“ポンコツバイト”だった19歳の安居美聡さん、通称・みっちゃんだ。 大学生アルバイト 安居美聡さん: お客さまにお水こぼしてしまったりだとか、サラダ落としてしまったり、5カ月経っても研修バッジが外れないくらい全然ダメダメでした。諸沢さんが初めて(店に)いらしてくださった時に、絶対怒られると思って、裏呼ばれたんですけど、その時に「すごい目力強かったもん。私も目力まねしたいと思った」って。あれ?怒られなかったってなって。 母親譲りのポジティブシンキングはどんな相手にでも発動。その証拠に、諸沢社長は、その日の日報をこう綴っていた。 「ミッちゃん♪ 積極性と明るさがピカイチ~!! その溢れるキラキラさを 沢山沢山吸収させて頂き 中山店へ持ち帰らせて頂きます♡」 安居さん: いい人の接客をまねをするっていうふうに言われて、諸沢さんのまねしてみようって。当たり前のことしてるだけなのに「ありがとう、助かる」って言ってくれるから、自信に変わりました。 この、誰にもまねの出来ない能力を目の当たりにした当時の社長だった西牧大輔会長は、当時をこう振り返る。 西牧会長: その頃から、この子はまっすぐで、素直で、前向きで、やっぱり一生懸命なんだなぁって。