受験失敗しても「おめでとう」秘密は母の“超ポジティブ”子育て術 22歳の諸沢莉乃さんが「ココイチFCの新社長」になるまで
「みんながハッピーに」母のまねをして“人助け”
ある日、母が何かに気づいたのか走っていったことがあった。見ると、そこでは高齢の女性が両手に重い荷物持っていた。すると母は「大丈夫ですか、階段の上までお持ちしましょう」とすかさず声を掛けて女性を助けたという。 諸沢社長: かっこいいなと思って。母がやっていたこと。感動したんですね、初めてそういう人見たんで。 その数日後、諸沢社長は、同じ集合住宅の同じ棟に住む高齢の女性が両手に大きな袋を抱えているのを見かけ、早速母のまねをして、荷物を持ち、女性を部屋まで送った。その後、女性は諸沢社長の部屋を訪ね、お礼にと赤飯を持ってきてくれた。そのやりとりを見ていた母は、「よかったね。きっと、すごく嬉しかったんだと思うよ」と、我が事のように喜んでくれたという。 諸沢社長: 私は母がやってることを「かっこいいな」と思って。それを真似してやっただけなのに、お赤飯もらえて、父と母に褒められて、みんなハッピーになるなって。
第一志望に落ちても「おめでとう」
一方、学校の成績は振るわなかったという。 諸沢社長: 勉強はできないですよね。漢字テストを頑張ってました。覚えれば100点取れるので。 ――歴史も覚えたらできません? 諸沢社長: ちょっと長くないですか?覚えるものが。 ――漢字は一文字だから? 諸沢社長: そうです。そうです。バカが言うこと!(笑) 成績は最悪だったがそんな時も、母は「あら、すごくいいじゃない!頑張ったのね」と褒めてくれた。 諸沢社長: 5段階評価よりも(母は)先生からのコメントを見るんですよ。「莉乃はいつも明るいんだね」とか、そういうプラスなことしか言われたことないです。 いつも母の背中を見ていた彼女の成績表には「友だちに対して温かい気持ちで接し、親切にすることができました」「みんなの立場になって、考えていく力がさらに高まり」などの言葉が並んでいた。家庭からの連絡欄を見ると、母もまた「娘の良さが学校でも出せていることに安心しました」と、根っからのポジティブシンキングだった。 その極めつきが、中学3年の三者面談だった。「お母さんもご存じのように、今回のテストはですね…」と、先生が言いかけたところ、母は「いや、先生。前回は(100点満点で)6点だったけど今回は8点じゃないですか。2点も上がった。莉乃、よく頑張ったね!」と言ったという。 諸沢社長: 先生もポカーンとしちゃって、しかも受験期じゃないですか。もうそろそろやばいのに、母はもう「すごい!」これです。ずっとこのスタンス。 いつだってこんな調子なので、 第一志望の公立高校受験に失敗した時にも「おめでとう」と言われたという。 諸沢社長: 泣いて帰って玄関のドアを開けたら、母が「おめでとう」って抱きしめてくれた。「何で?」って言ったら、「(すべり止めの)私立は合格してるから、おめでとうだよ」って言って抱きしめてくれて。