「職場の人間関係に悪影響が」「スキマバイトは『20時間の壁』の抜け道」 年金制度改革で主婦を“直撃”する影響とは
人間関係への悪影響も
人間関係への影響も危惧されるという。 「ある人が“子供の具合が悪いからシフト代わってくれる?”と言われて聞いてあげたとします。その後、今度は代わってあげた人が“子供の運動会で休みたい”と頼んだ時、“もう今週19時間働いているから無理”と断られたら、その人はどう思うでしょう」(秋葉氏) 「釜揚げ牧のうどん」広報担当者はこう語る。 「ウチはパートの方が多くて、そのほとんどが現状、夫の扶養に入って、106万円以内で調整しながら働いています。今のところ“厚生年金に入りたい”という声は聞いていないですね。扶養のままでいいという人の方が多いと思いますが、もし週20時間未満に収めなければいけないとなると、人員の足りない店舗ではシフトの調整が厳しくなるかもしれませんね」
「なんとかやりくりしている中小はつぶれる」
企業側への影響はどうか。 「中小零細企業、特にパートタイム労働者が多い企業ではコスト増が経営に与える影響は大きいでしょう」 と、経営コンサルタントの横山信弘氏は話す。 「値上げなどができない下請け企業や、価格競争にさらされているサービス業などでは、パートタイム労働者を雇うとコスト増、減らせば人手不足倒産のリスクが高まり、八方ふさがりになる可能性もあります」 厚労省は、労使での保険料の負担割合を変更できる特例も検討しているが、 「企業側が保険料を多く負担しようとするところもあるみたいですけど、それができるのは強い企業だけじゃないですか。そういったところにばかり人が集まってしまうと、なんとかやりくりしている中小はつぶれるってことになりかねないですよね」(先の秋葉氏)
「20時間の壁」の抜け道
そんな中で注目を集めているのが「スキマバイト」で複数の会社で働くケース。その場合、各会社での勤務時間がそれぞれ週20時間以上でなければ、合算した勤務時間が週20時間以上になったとしても社会保険料などを払わずに済むのだ。いわば、「20時間の壁」の抜け道。「タイミー」など、スキマバイトを紹介するアプリも普及しているから、今後、そうした働き方が増えるかもしれない。無論、保険料負担を免れるため、企業側にとってもメリットがある。 先の横山氏が言う。 「タイミーのような単発バイトアプリを使う経営者は、今後間違いなく増えるでしょう。まだ使ったことがないという会社が大半だと思いますが、他方、講演などで経営者の方にタイミーなどに興味があるかと聞いてみると、8割くらいの人が興味を持っていて、非常に注目されています」