「職場の人間関係に悪影響が」「スキマバイトは『20時間の壁』の抜け道」 年金制度改革で主婦を“直撃”する影響とは
主婦を“直撃”する「106万円の壁」撤廃
【全2回(前編/後編)の前編】「主婦からすれば“もうやってられない”」 “主婦年金”が廃止されるとどうなる? 年金制度改革があなたの家庭に与える影響 【写真を見る】「106万円の壁」撤廃がパート、アルバイトに与える影響は 厚労省が来年1月の通常国会に関連法案を提出する予定となっている「年金制度改革」。「106万円の壁」撤廃や、遺族厚生年金の見直しで、われわれの暮らしはどうなるのか。今回は改革の対象から外れそうな主婦年金の今後とは――。知っておくべき年金問題の核心。 ***
団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる2025年の幕開けを目前に控え、「年金制度改革」は待ったなしである。奇しくも今年は5年に1度のサイクルで行われる年金の「財政検証」の年。厚労省はこの年末までに年金制度改革の具体的な案をまとめ、来年1月の通常国会に法案を提出する方針となっている。 その年金制度改革のあおりをもろに食いそうなのが、主婦のいる世帯だ。特に、最近テレビや新聞でも取り上げられることが多い「106万円の壁」撤廃は、パートタイマーで働いている多くの主婦を“直撃”することになろう。 「現在の厚生年金への加入要件は、短時間労働者の場合、従業員51人以上の企業で、週20時間以上働く、月額賃金8万8000円(年収106万円)以上の、学生ではない者、となっています。今回の改正で“51人以上”の企業規模要件と“8万8000円”の賃金要件が撤廃される見通しです」(厚労省担当記者)
「106万円を意識して働いていた人はほとんどラインにひっかかる」
つまり、週に20時間以上働き、かつ学生ではない短時間労働者は、基本的に年間十数万円の社会保険料などを支払って厚生年金に加入することになるわけだ。18.3%の保険料負担は労使で折半するため、働く側だけではなく、企業側にとっても負担増となる。 「週20時間という要件だけが残ると、年収106万円を意識して働いていた人はほとんどラインにひっかかってしまいます」 スーパー「アキダイ」代表の秋葉弘道氏はそう慨嘆する。 「現場では助け合いで働いていますから。例えば誰かが風邪で休み、4人で働いていたところが3人になれば、それぞれが勤務時間を延ばしたり、休みを減らしたりして現場を回すことになります。そうすると簡単に週20時間以上に達してしまいます」