朝食は「パンより米」が正解である…92歳の現役栄養学者が実践する「ヨボヨボにならない最強の食事」を解説する
■魚介類を摂れば、認知症リスクを下げられる 本書の第2章でもお話ししましたが、私を含めた日本人の6割は、遺伝子的に魚類を多く摂取する必要があります。ですから、私も日野原重明先生(編集部注:105歳で亡くなるまで勤務した聖路加国際病院名誉院長で、筆者の恩師)を見習って、人一倍魚を食べるようにしています。 図表2は、魚介類の摂取と認知症の関連を表したものになります。この図表から読み取れるのは、魚介類を多く摂取することで、認知症のリスクを大幅に下げられるということです。 ポイントとなるのは、魚介類に含まれるEPAやDHAです。これらは、海藻類を除く植物性食品には含まれていません。だからこそ、魚介類の摂取が重要になってくるのです。 私が出演したNHKの番組「ヒューマニエンス 40億年のたくらみ」の「『おいしさ』ヒト進化のスイッチ」(2024年5月11日放送)でも取り上げましたが、実は、牧草食の牛などの家畜の肉にはEPAやDHAがたくさん含まれています。 しかし、私たちが口にする機会の多い穀類食の家畜の肉の場合、EPAやDHAの量は4分の1~5分の1に激減します。家畜だけでなく、私たちの研究では、十数年前に比べて、母乳に含まれるDHAが半減していることがわかりました。 ただ、先ほど「日本人の6割」と表現したように、残りの4割の人は遺伝子的にアルファリノレン酸からEPA・DHAを合成することができます。また、魚を食べない地域に暮らす人や菜食主義の人たちもしかりです。 ■短時間で血糖値を上げるのはおすすめしない 本書では一貫して、これからは「精神活動」の度合いがますます増え、それに見合った栄養を摂取する必要性が高まるという立場で、さまざまなデータをご紹介しています。 この項目では「脳のエネルギー源と栄養」について解説したいと思います。 人間の脳の重量は体重の2%程度である一方、使用するエネルギーは全体の20%にも及びます。脳は血糖をエネルギー源にしているため、ある程度の血糖値を維持する必要があります。本書で朝食の重要性を何度も説いているのはこのためです。 一時的ではなく、軽度低血糖が慢性化すると、認知症やうつ病になるリスクも上がってしまいます。 では、エネルギー源となればなんでもよいかといえば、そうではありません。理想的なのは、血糖値の変動がゆるやかな「でんぷん」です。反対におすすめできないのは、短時間に血糖値を上げてしまう高砂糖食です。