福岡のアマチュア音楽を応援! 西鉄が社内起業で新サービス/福岡県福岡市など
西日本鉄道(福岡市)が、音楽を愛する人たちを応援するサービス「muside(ミューサイド)」を始めました。発案したのは、自らアーティストとしてライブ出演している若手社員ら。2月に音楽支援アプリを公開し、今夏以降もライブステージを用意したり、イベントの開催支援に取り組んだりと、現場から生まれるアイデアを実行に移して福岡の音楽文化をさらに盛り上げようと奮闘しています。 【写真】ミューサイドのチラシと、ライブ活動する近藤さん
「ミューサイド」でつながる
「コンセプトは『音楽を楽しむあなたのためのマネージャー』です」――。西鉄でミューサイドを担当するプロジェクトリーダー・近藤真由さん(28)は、7月下旬に福岡市内で開かれた新企画の発表会で、新サービスとアプリについてそう説明しました。 アプリの名称は、新サービスと同じ「ミューサイド」。音楽を「する人」と「聴く人」、スタジオなどの運営者をつなぐ場として、アマチュア音楽家などのアーティストは出演情報を掲載したり、ライブハウスや練習スタジオを探したりできます。ファンらは、地元で活躍しているミュージシャンや、所定の日時・場所で開かれるライブの情報を探し、チケットを予約することもできます。 ダウンロード数は8月1日時点で2000件を超えています。登録したアーティストは約250組で、その活動エリアは福岡を中心に東京、大阪、宮崎など10都府県に及びます。ライブハウスやスタジオなどの掲載数も増えており、情報確認を終えた認証店は約130店に上るそうです。 アプリ利用者からは「遠征時もライブできる場所が探しやすくなりそう」「いいなと思ったアーティストの活動や知らない曲も見聞きできる」と好反応が寄せられているとのこと。ライブハウス側からも「従来は新たな出演者を探すにも、SNSをひたすら眺めるだけだったが、アプリで見つけやすくなった」と喜ばれているそうです。
自分自身が悩んだ経験から
ミューサイドの誕生の背景には、近藤さん自身の経験がありました。 近藤さんは「hako(はこ)」の名で活動する現役ミュージシャン。大学進学を機にアコースティックギターを始め、2019年に就職して音楽から一時離れたものの、「趣味がほしい」と弾き語りのウェブ配信を開始。21年からライブに出演するようになり、オリジナル曲も披露しています。 その中で、出演できるイベントや会場がどこにあるのか分からない――といった悩みに直面。ライブハウスの場所は分かっても、ウェブで得られる情報が少なく、利用をためらってしまうこともありました。 アマチュア音楽家に必要な情報が乏しい――。同僚の結城隆充さん(48)は、その悩みを聞いて何度もうなずきました。 結城さんは高校時代から20歳代前半まで活動していた元バンドマン。今は「見る・聴く専門」としてアマチュアなどのライブに足を運んでいるそうです。2人で社内起業家の育成事業に応募し、「音楽に携わる人たちの悩みに応えられたら」と新サービスを構想。社内の承認を経て、23年度にアプリ開発を進め、公開にこぎ着けました。