ヤクルトの真中監督が辞任表明「来季やっても勝つ自信がない」
ヤクルトの真中満監督(46)の今季限りの退任が決定した。真中監督は22日、神宮球場で記者会見を行い「(衣笠)球団社長と相談して今季限りの退任が決定しました」と辞任を申し入れ、了承されたことを明らかにした。残り32試合に代行監督は置かず、最終戦まで真中監督が指揮を執る。 退任会見の痛々しさはなかった。すでに報道が先行していることと真中監督の人柄だろう。神宮球場の三塁ベンチ前に取材カメラがセッティングされ、まるで開幕前の抱負会見のような“形”で真中監督は口を開いた。 「(辞任は)総合的に判断した。ケガ人も含めて、監督はチームを預かっている。ケガ人や、若手が育っていないなど、の言い訳もあるかもしれないが、僕の責任、僕の力が足りなかったということ。この結果だと(辞任は)しょうがないと思う。これがひと区切り。気持ち的にはスッキリしている」 真中監督は、辞任の意向を「7月の頭くらいから考え」、衣笠社長と会談して申し入れた。その際、慰留をされたが、「来季を預かっても勝つ自信がない。立て直すのは厳しい。そういう僕が(来季も監督を)引き受けるのは失礼。ファンにもこれ以上迷惑をかけたくない」と固辞、21日に衣笠社長と最終会談を持ち、今季限りの退任が決定した。 今季は、川端、畠山、雄平ら主力にケガ人が続出、WBC帰りの山田哲人が不振に陥ったこともあって低迷。7月には47年ぶりに13連敗を喫するなど、浮上の目はなく、20日の広島戦にサヨナラ負けしたことでシーズンの負け越しが決定していた。現在、借金は「33」で単独最下位に沈んでいる。 真中監督は、2014年オフに小川監督の後を受けて1軍のヘッド兼打撃コーチから監督に昇格、就任1年目となる2015年には、トリプルスリーをやってのけた山田哲人を軸にした強力打線に加えて、ロマン、オンドルセク、バーネットの勝利の方程式を構築してリーグ優勝を果たし、クライマックスシリーズも勝ち抜き、日本シリーズへ進出した。 だが翌年は、抑えのバーネットの退団などで、勝利の方程式が崩壊、一転、5位に低迷した。3年契約の最終年となる「今年にかけていた」というが、予期せぬ故障者が続き、秋吉の故障など抑え不在の中、先発の小川を一時期抑えに起用するなど、その采配も迷走してチーム浮上のきっかけをつかむことができなかった。 「優勝したシーズンの終盤の戦いが思い出だが、3年間で、喜ぶ瞬間よりも、負けている苦しさ、難しい仕事だと痛感した。現役時代に感じられなかったファンの方々の声援、大切さが監督になってよくわかった。優勝もできて、今年は借金30を越えているが、最後まで指揮を執る。この経験を今後に生かしていきたいと前向きに考えている」 球団サイドは、フロントとしてのチーム残留を打診したが、「ケジメをつけたい」とチームには残らず、退団後は評論家としてネット裏から野球を見直す方向。「何かの縁でまたお話をもらえればありがたい」とも語った。真中監督は22日の阪神戦の試合前練習の終了後に選手に今季限り退団が決定したことを伝えた。