ファイティングポーズを決めるWBA世界同級王者井上拓真（撮影・中島郁夫）

　プロボクシングWBA世界バンタム級王者井上拓真（28＝大橋）が3日、横浜市の所属ジムで3度目防衛戦に向けた公開練習に臨んだ。13日、東京・有明アリーナで同級2位堤聖也（28＝角海老宝石）の挑戦を受ける。シャドーボクシング、サンドバッグ打ちを各1ラウンドずつ披露。試合が10日後に迫る中、体重もリミット（53・5キロ）まで残り4キロまで落ち、総スパーリング数は78ラウンドに達したという。 　所属ジムの大橋秀行会長（59）は4団体統一スーパーバンタム級王者の兄尚弥（31）に「負けたくない」という井上の感情が最近、ひしひし伝わってくると明かした。挑戦者の堤について「執念というか人間力を感じる。テクニックに関しては拓真がレベルは違うが、人間力で来られるとね。いろいろ乗り越えているし、目に見えない強さがある」と解説した後、井上の秘めた人間力に言及。 　同会長は「拓真にも執念がある。堤選手の執念、人間力とは違うものがある。兄弟で比べられる。それはやはり『オレだって』という負けず嫌いの執念。兄に負けたくない執念は想像以上にあると思う。その執念の強さが今の拓真の原動力だと思う。我々が想像つかない気持ちだと思う。最近、拓真からは兄尚弥を超えたいという気持ちを強く感じる」と率直な心境を口にした。 　井上は今年2月、9度の防衛を誇った元IBF世界スパーフライ級王者ジェルウィン・アンカハス（フィリピン）に9回TKO勝利。同5月には東京ドームで石田匠（井岡）の挑戦を受け、1回にダウンを許しながらも逆転で判定勝利を収めた。大橋会長は「拓真のすごいところは相手のクセを読んで試合しながら成長し強くなる。わかりずらい強さだけど魅力的。堅実だし、終盤になればなるほど強くなる。今の拓真は完成形に近づいている」と手応えを示していた。