うんざり!でも変わらない米国のチップ文化、インフレで負担感増大 奴隷制の名残?二つの最低賃金で置き去りにされた労働者【2023アメリカは今】
▽バイデン大統領は是正に前向きだが… こうした差別的待遇の改善へ、バイデン大統領も行動は示している。2020年の大統領選では、労働者全般の最低賃金引き上げとともに、チップ労働者向け最低賃金の廃止を公約に盛り込んだ。しかし、廃止法を成立させようにも、昨年の中間選挙で連邦議会下院は野党共和党が過半数を獲得し、法改正による是正は困難な情勢だ。 政権が望みを託すのは、労使交渉を通じた改善だ。ただこれも、労組の組織率は年々低下。ニューヨークの日本料理店で働く女性従業員は、職場で労組を結成したが労使交渉はままならないという。「経営者にピンハネされていたチップを取り戻したいだけなのに…」。 チップ労働の在り方は、奴隷制の残滓が米国経済を支えている現実を浮き彫りにしているのではないだろうか。