【工場見学】ストウブ50周年! 永遠に愛される「ココット」の魅力を現地・フランスの工場で大解剖!
2024年、50周年を迎える、フランス発の鋳物ホーロー鍋「STAUB(ストウブ)」。 【写真】この記事の写真を見る(17枚) 高い熱伝導と保湿性で、食材の旨味を逃すことなくおいしい料理を作ることができると、料理好きから愛され続けています。 煮込み料理やスープはもちろん、ご飯を炊いたり、パンを焼いたり、食卓のメニューの幅を広げてくれる優れもの。そしてバリエーション豊富なカラーと愛らしい見た目で、キッチンを華やかに彩ってくれます。 今回は、フランスの工場を実際に見学し、その魅力に迫りました。
カラフルな実力派鍋「ストウブ」の魅力
ストウブは創業者フランシス・ストウブ氏によって、1974年にフランス北東部アルザス地方で設立されました。有名シェフたちの協力によって1978年に誕生したのが、最も定番の「ピコ・ココット ラウンド」です。当時はコンピューターがなかったことから、木を使って計測しながら試作していたのだそう。 2002年には、フランス北部のリール近郊メルヴィルの工場を買収。現在も、長閑なメルヴィルにある工場で、1年間に150万台ものココットが生み出されています。2008年からはドイツのツヴィリンググループ傘下に入る形で、ヨーロッパ、アメリカ、アジアまで広く世界中にココットを提供することができるのです。 25人の職人による手作業と100もの工程を経て作り上げられているココット。その丁寧で複雑な製造工程にこそ、ストウブが長く愛され続ける所以があるのです。今回はメルヴィルの工場を見学し、貴重なココット作りの過程を教えてもらいました。
リサイクルメタルを使ったサステナブル製法
まず、ココットの原材料を集めるところからスタート。原材料のレシピとなるのは、金属85%、炭素燃料10%、石灰岩5%。50%はリサイクルメタルを使って、サステナブルな生産を心がけているのだそう。巨大なクレーンでさまざまな材料を拾い上げていく様子は圧巻です。摂氏約1,400度という高温の窯で、この原材料を溶解していきます。 工程の中で最もユニークだったのが、ココットは砂でできた鋳型で鋳造されているということ! アルミニウムの型板を設計し、その型板にパリ近郊で採れた砂を押し固めて鋳型を作ります。この型板からは約5万台の砂の鋳型を作ることができ、砂は97%リサイクルされているとあって、ここにもサステナブルへの積極的な取り組みを感じられます。砂は常に厳重管理し、ちょうどいい状態を保っているのだそう。 砂でできた鋳型に溶解した鋳鉄を流し込んで、ココットの形を模っていき、鋳鉄が固まったら、砂の鋳型から取り出します。この鋳型の砂を取り除いていく様子が興味深い! ベルトコンベアーで揺らしながら砂の鋳型を破壊し、手作業で中の鋳鉄を取り除いた後、ショットブラスト(表面に小さな球を吹きつけること)によって、残った砂を取り除いていくのです。 そして、鋳鉄の隆起をなめらかにするため、荒磨きをかけます。ココットはカボチャやトマトといったユニークな形のものもあるため、手作業を必要とされることも。その後、もう一度ショットブラストによって、細かい磨きをかけていきます。この工程によって表面を荒くすることで、この後のエナメルが塗りやすくなるのです。