「固定資産税」評価のスピードアップなるか 都が方式見直し目指す
大規模建築物の評価方式の見直し目指す
都内には2016年度から2021年度までの6年間に竣工を予定している大規模建築物が約40棟もあり、今後も資産評価で膨大な作業が発生することが予想されています。「現行の固定資産の評価方法は、1963(昭和38)年度に自治大臣が定めた方式を用いています。それらは全国一律で適用されていますが、50年以上が経過した現在にはそぐわない面があります。最近では資産評価に2年かかることも珍しくなくなりました」。 そこで都は、固定資産を評価する方式の見直しに向けた検討を始めています。都主税局の担当者は続けます。 「東京都は家屋すべての評価方式を変えるように求めているのではなく、あくまでも大規模事業用建築物に分類される建物について評価方式を変えるように求めています。評価方式を見直しても税額が変わらないような仕組みを維持しつつ、作業の簡略化・効率化を目指しています」 資産評価が定まらなければ、当然ながら固定資産の税額を決定することはできません。固定資産税額が不明のままだと、ビルの借り手も現れにくく、それは都市開発にブレーキをかけることにもつながります。都市開発が停滞すれば、東京の発展が阻害されることになり、日本経済に影を落としかねません。 固定資産評価の迅速化に向け、都は評価方式を改善するべく、2016(平成28)年に固定資産評価に関する検討会を設置。検討会では、大学教授や税理士といった有識者が新しい固定資産の評価方式のあり方について約1年間にわたって議論しました。その議論を基にして、新たな評価方式をまとめています。 固定資産価格の評価見直しは、3年ごとに実施されます。2017年に検討会でまとめられた提言は、時期的に昨年2018年度の評価見直しに間に合いませんでした。そのため、東京都は次のタイミングにあたる2021(令和3)年度に、新たな評価方式を導入できるよう国に働きかけています。 (小川裕夫=フリーランスライター)