ホンダ、次世代EVの鍵を握る「全固体電池」の試作へ
今月21日、ホンダは、EV=電気自動車の性能を飛躍的に伸ばす可能性のある「全固体電池」の量産に向けた試作を開始すると発表しました。栃木県さくら市に建設された新たな施設を来年1月から稼働させる予定で、「全固体電池」を車体に搭載するためにどのような工程が必要となるのかなどを検証し、2020年代後半の実用化を目指します。 EV開発競争の鍵を握るともいわれる「全固体電池」とは、いったいどのようなものなのでしょうか? 現在、EVのバッテリーとして主に使われている「液体リチウムイオン電池」は、電気を通す電解質に「液体」が使われています。一方、「全固体電池」では電解質に特殊な固体を使います。 ホンダによりますと、固体はエネルギー密度が高いことから、コンパクトになり、充電時間も大幅に短縮できるほか、EVの課題ともいわれている航続距離についても大きく増やすことができるといいます。また、固体の電解質は液体と比べて可燃性ガスの放出が少なくなり、安全面でも、車両火災のリスクが低くなるとしています。 「全固体電池」は、EV時代のゲームチェンジャーになり得る革新的な技術と期待されています。「全固体電池」をめぐっては、中国や韓国、欧米などで研究開発が加速するなど競争が激しくなっていて、日本ではトヨタ自動車が2027~2028年に全固体電池の実用化を目指し、開発に取り組んでいるほか、日産自動車も今年度中に試作ラインを稼働させ、2028年度中にEVへの搭載を目指しています。ホンダは「全固体電池」の将来の可能性として、クルマに限らず、二輪や航空機などさまざまな乗り物に適用する可能性を検討するとしています。 一方、経済産業省は、全固体電池を含む「蓄電池の製造サプライチェーン強靭化支援」として、2025年度の概算要求に1778億円を計上するなど、国も支援に乗り出しています。 日本がEV競争で海外におくれをとる中、今後、独自開発を加速させ、巻き返しを図れるのか注目されます。