「梅毒」の勢い衰えず パパ活・マッチングアプリが感染爆発の一因に
梅毒とは?
編集部: 東京都医師会が警鐘を鳴らした梅毒について、どのような病気か教えてください。 中路先生: 梅毒という病気は、他人の粘膜や皮膚と直接接触するなどの性的な接触によってうつる感染症です。梅毒トレポネーマという病原菌が原因で、症状として出てくる赤い発疹が楊梅(ヤマモモ)に似ていることが病名は由来しています。梅毒に感染したかどうかは医師による診察と、血液検査(抗体検査)で判断します。感染が明らかになった時の一般的な治療方法としては、外来で処方された抗菌薬を内服することになります。内服期間などはステージによって異なるので医師が判断することになります。病変した部位によっては入院のうえ、点滴で抗菌薬の治療を行うこともあります。検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。晩期顕性梅毒という感染後数年たった状態になると死亡することもあります。
パパ活・マッチングアプリの影響は?
編集部: 今回おこなわれた会見では、梅毒の感染者の年齢について、女性は20~30代、男性は20~50代と言及されています。女性の方が若い年齢に集中しているように感じますが、何か原因になることは想定できるでしょうか? マッチングアプリを活用した、いわゆるパパ活が影響している面はあるでしょうか? 中路先生: 女性の方が男性より若い年齢層に梅毒の患者数が多い理由は現時点ではっきり分かっていませんが、やはりこれまでの性風俗産業を介した感染に加え、より経済的弱者である若年女性の間にアプリやSNSなどで中高年男性と直接やりとりして性的サービスを提供し金銭を得る「パパ活」が広まっていることが原因の一つとして考えられます。また、この様な場合はお互いに性感染症の検査をしているかどうかの確認が困難で、気がつかないうちに梅毒感染症を広げている可能性が考えられます。今後は、特に若年女性に対して「パパ活」などでの不特定多数の男性との性交渉のリスクについてメディアなどを通じて改めて啓蒙していく必要があると思われます。