岩槻移り、構図変動 地盤の優位薄れ伯仲 衆院選埼玉1区(さいたま市浦和、緑、見沼区)
8647、8806、9351、9956―。自民前職の村井英樹(44)が初当選した2012年から過去4回、岩槻区で立民元職の武正公一(63)につけた票差だ。前回は全体の票差2万4166票の4割以上を岩槻が占めた。 対応に追われる選管 15日公示、27日の投開票決まった衆院選 投票所整理券が公示翌日に間に合わない自治体も 間に合わなくても期日前投票などは可能
村井にとって大票田の岩槻区が区割り変更で新設の16区へ移る。村井は「手足がもがれる思い」と表現し、事務所関係者も「選挙戦で痛いのはもちろん、精神的なショックも大きい」と打ち明ける。党への逆風も重なり「過去4回に比べ一番厳しい選挙戦だ」と語る関係者も少なくない。 ■“親離れ” 区割り変更決定後の昨年2月、村井は市民会館いわつきで感謝の集いを開いた。出席者によると、定員超えの700人以上が駆け付けて立ち見が出るほどで、感謝の言葉を伝える際に感極まる場面もあったという。「初出馬から岩槻の方々には息子のように、弟のように、家族のようにかわいがってもらい、いつも温かく迎えてくれた」。そして「ある意味“親離れ”しないといけない時期なのかな」と、これまでの恩を力に変えることを誓う。 裏金問題を巡り、自民が向かい風を受ける選挙戦。村井自身は裏金と関係なく、3年間、首相補佐官、官房副長官として政権の中枢を担った自負がある。「奇をてらうことなく、正々堂々とこれまでの取り組みや次の期に懸ける思いを訴える」。公示翌日には岸田文雄前首相が応援へ駆け付けて側近を激励。村井は聴衆に深々と頭を下げた。
■新代表で追い風 捲土(けんど)重来を期す武正は00年の初当選を含め小選挙区4連勝後、村井に4回連続で涙をのんだ。岩槻の除外には「票を見れば差が縮まる可能性はあると思う」と慎重な言い回しだ。実際に岩槻以外の他の3区でも一定の差をつけられてきた。ただ見沼区は前回、前々回から票差を約半分に縮めている。区割り変更で全域が選挙区となる見沼では21年の衆院選以降、後援会見沼支部を強化。浮動票や無党派層の取り込みを狙う。 選対幹部は「逆転するには分厚い中間保守層の票を取れるか」と指摘。別の選対関係者は「野田さんが代表になったのは追い風だ」とみる。野田佳彦代表と武正は政策グループ「花斉会」に所属。考えも共通する部分が多く、訴えが有権者に浸透しやすいのではと分析する。 前回は立民、共産、社民、れいわの野党4党統一候補として出馬したが票は伸びず不完全燃焼だった。8日の総決起集会には党の長妻昭代表代行、15日の出陣式には岡田克也前幹事長が駆け付けた。武正は「日本を変えるうねりを埼玉1区から起こしましょう」と大声を張り上げた。