「2024年問題」直前の軽貨物運送業 倒産と休廃業・解散の合計が 3年連続で過去最多
休廃業・解散も過去最多、倒産と休廃業・解散の合計は123件
2023年に倒産以外で事業を停止した「休廃業・解散」は74件(前年比12.1%増)で、過去最多を5年連続で更新した。2012年までは倒産が多く、休廃業・解散は小康状態が続いていた。 その後、相次ぐ新規参入で競合が激化するにつれ、市場競争から脱落し、休廃業・解散する事業者が増加してきた。ただ、コロナ禍では“巣ごもり需要”をあてにした安易な参入組も増え、ゼロゼロ融資をはじめとするコロナ関連の資金繰り支援策で一息ついた。だが、支援の縮小・終了とともに、倒産に加え、休廃業・解散も一気に増加した。 休廃業・解散は、業歴5年未満が目立つ。判明分では、業歴5年未満は2020年が16.6%にすぎなかったが、2021年は31.2%、2022年は22.5%、2023年は40.5%と約4割まで上昇した。スタートアップ企業が、経営が軌道に乗らず倒産する前に早めに廃業を決断したとみられる。 休廃業・解散と倒産の合算は、2021年78件、2022年102件、2023年123件と3年連続で過去最多を更新している。
業績は回復傾向も利益の低迷続く
2022年10月期~2023年9月期(2023年)を起点に、5期連続で売上高と利益(最終利益)が比較可能な軽貨物運送業の269社を分析した。コロナ禍の影響が一部含まれる2020年は、売上高は1,661億900万円(前年比11.9%増)と在宅勤務などの定着で扱いが増加したようだ。 一方、利益は34億9,800万円(同5.4%減)と減益で、運賃伸び悩みとコスト増が影響した。 2021年は需要が一巡し、売上高1,576億6,800万円(同5.0%減)と減収に転じ、利益も27億9,800万円(同20.0%減)と落ち込んだ。2022年は経済活動の活発化で売上高は1,626億1,200万円(同3.1%増)と微増だった。ただ、利益は16億7,300万円(同40.2%減)と燃料費の高騰などで大幅減益につながった。 2023年は、宅配など荷物量の増加に加え、一部で運賃上昇の流れもあり、売上高は1,796億1,200万円(10.4%増)と増収に転じた。利益も23億6,300万円(同41.2%増)と大幅増益を達成したが、コロナ禍前の2019年との比較では、売上高は21.0%増に対し、利益は36.1%減と大幅な減益にとどまった。こうした業績の厳しさも、倒産や休廃業・解散の増加につながったようだ。