『ラヴィット!』『新しいカギ』番組Pが語る「笑い全振り」「学校企画」へのターニングポイント
親友の死から「元気をもらえるテレビを」
TBS系バラエティ番組『ラヴィット!』(毎週月~金曜8:00~)の辻有一プロデューサーと、フジテレビ系バラエティ番組『新しいカギ』(毎週土曜20:00~)の矢崎裕明チーフプロデューサーが27日、ビデオリサーチ主催の「VR FORUM 2024」に登壇し、番組のターニングポイントや制作の舞台裏などを語った。 【グラフ】『FNS27時間テレビ』毎分のXポスト数推移
■コンプラチェック担当が「秀逸でした」 今や若年層を中心に人気の両番組だが、必ずしも順調なスタートを切ったわけではなかった。コント中心の総合バラエティとして立ち上がった『新しいカギ』は、「学校かくれんぼ」をきっかけに、カギメンバー(霜降り明星、チョコレートプラネット、ハナコ)が学生たちを巻き込んだ様々な企画を展開している。 矢崎氏はこのターニングポイントについて、「コンプラチェックの担当の方とのやり取りで、“『学校かくれんぼ』が秀逸でした”とメールで褒められたんです。それで“ちょっと(跳ねる)匂いがするな”と思ったんです」と紹介。第1弾の放送で数字に顕著な反応はなかったが、評判が良かったことから2回目を2時間SPの頭に置くと「『新しいカギ』では見たことのない右肩上がりという状況が起きまして、これは行けるんじゃないかとチーム内に自信が走りました」と手応えをつかんだ。 こうして鉱脈を見つけた中で、チョコプラやハナコというコント師たちの「もっとコントをやりたい」という思いと、制作陣でのせめぎ合いがあったものの、「『かくれんぼ』がどんどんコア視聴率を取れるようになって演者さんもスイッチが変わりまして、TVショーのエンタテイメントとして、学校企画を喜んでやってくれています」と現在に至る。 ■カットしていた部分を全部OAに出した “日本でいちばん明るい朝番組”を掲げ、21年3月にスタートした『ラヴィット!』を、コロナ禍の最中に企画した辻氏。「僕自身もコロナ禍で親友を亡くすということがあって、一番落ち込んでいる時でした。残された家族の家に行くとなかなかテレビがついてなくて、本来しんどい人に寄り添わなければいけない娯楽であるテレビが一切役割を果たせてないと思ったんです。その年は、日本中につらい、しんどい人たちがたくさんいると思って、そういう人たちが朝の帯という時間にふと笑ってその日一日生きる元気をもらえるテレビなら、作る意味があるんじゃないかと思って『ラヴィット!』の企画書を書き始めました」と振り返る。 ただ、「番組開始当初は、もうちょっとオシャレでスタイリッシュな番組を目指していて、全然うまくいかなかったんです」と苦戦。そんな中でターニングポイントになったのが、ディレクターが編集したお笑いコンビ・ニューヨークの料理コーナーのVTRをチェックしていた時だった。 「全部の撮影素材を見せてもらったら、朝の番組だからとカットしていた部分で、ニューヨークさんが異常にボケていて思わず笑っちゃったんです。そこで、このままやっても上手くいかないから、自分が面白いと思うものを思い切り出してみようと思って、今までカットしていた部分を全部OAに出して、笑いに振り切ったVTRにしたら、スタジオの演者の皆さんに今までにない熱を感じたし、SNSのリアクションも明らかに変わってきて、ここに鉱脈があるのかもしれないと思ったんです。それをきっかけに今までの固定概念や成功体験を全部捨てて、純粋に自分が面白いと思う番組を作ってみようと思うようになりました」と、現在の路線が確立された。