プロサッカー選手で日本代表キャプテンの遠藤航さんが「投資家」としての素顔を初公開!「趣味は投資」という遠藤さんが現在の投資先や“積立・分散・損切り”の大切さを語る
プロサッカー選手で日本代表キャプテン・遠藤航さんの「投資家」としての顔に迫る、ロングインタビューのダイジェスト版を公開! 【図版】投資先の大半は米国の個別株と米国債! ●個人投資家の父の助言で18歳のときに証券口座を開設! コロナ禍でサッカーができず、投資活動を本格化! ──サッカー専門メディアなどで「趣味は株式投資」と語っていますが、投資を始めたきっかけは? 遠藤 父がサラリーマンをしながら投資もしていました。早期退職して今も個人投資家で。そうした環境だったので、僕自身も投資に多少の興味はありました。18歳のときに、父から「銀行にお金を預けるよりはいいから」と、証券口座を作らされました。 その当時は僕には何の知識もなく、父から「とりあえず5銘柄くらい積み立てとけ」って言われて。その通りにインデックス投信を毎月1万円買う設定をして、放置していたんです。2020年のコロナ禍のタイミングで「そう言えば」と思って証券口座を覗いたら資産が増えていて。「オヤジすげぇ! 」ってなりました。 ──では、そこから本格的に投資を始めたのですか? 遠藤 そうですね。それまでは自分には知識がないから投資はできないと思っていました。でも、コロナの流行で一時サッカーができなくなって。チームの練習なども少なくなり、家にいる時間が増えたので、「そもそも投資とは? 」という基本的なところから、本を買って読んだり、ネットで調べたりし始めました。そうした勉強と並行して、徐々に個別株へも投資するようになりましたね。 ──これまでの間で、もっとも印象的な銘柄は何ですか? 遠藤 一番衝撃だったのは、EV(電気自動車)メーカーのテスラ(ティッカー:TSLA)と、オンライン会議サービスのズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)ですね。 コロナ直後はマーケット全体が下がっていましたが、2020年の2月くらいから、この2銘柄は延々と上がり続けましたよね。実際僕も買って、ズーム・ビデオ・コミュニケーションズは株価が上がったところで売りましたが、その後もさらに上昇していて。テスラは今でも保有していますが、個別銘柄が市場で注目された時の上がり方、特に際限なく上がっていく米国株ならではのスゴさを体感しました。 ●現在の投資先は米国の国債と個別株がメイン! 多忙につき資産運用アドバイザー(IFA)の力も借りる! ──現在の投資先の内訳は? 遠藤 全体の半分くらい債券で持っていると思います。米国の国債が中心ですが、一部社債なども含んでいます。残りは米国の個別株がほとんどですね。自分で個別の銘柄をリサーチする時間が取れないので、IFA(金融商品仲介業者)という資産運用のアドバイザーから助言を受けながら運用しています。さらに、自分で日本の小型株を買っているほか、S&P500などのインデックス投信の積立もしています。 ──約半分が債券とは、ずいぶん「守りの運用」ですね。 遠藤 米国では2022年から、すごい勢いで利上げをしていましたよね。それによって米国債を持っているだけでも一時期5%ほどの利回りがあり、単純に債券が魅力的だなと思って。 ──米国は今年9月に利下げに転じましたが、投資先は見直しますか? 遠藤 利下げが今後も継続するかを見極めてから動こうと思っています。債券を持ち続けるか、株に移行するのか。基本的には、日本株でも米国株でも、長期的に伸びていく株に投資したいという思いはありますね。 ──個別株はどのような銘柄に投資していますか? 遠藤 米国株は、IFAのアドバイスを聞きながら購入しています。まず、伸びそうな業種や銘柄をIFAが提案してくれます。その中から投資先の候補をいくつか選び、さらに自分でも調べて、納得したうえで買います。 配当狙いの銘柄ではなく、長期で株価の値上がり益が見込める成長株が好きです。具体的にはGAFAMなどの大手IT株や中小型のハイテク株、また今なら例えばAI(人工知能)関連株にも注目していますね。 ──日本株はどういう基準で選んでいるのでしょうか。 遠藤 日本の銘柄は自分で調べて投資しています。日本から世界に出ていくような企業や、今後大きく成長していく銘柄を応援したいという思いもあり、IPO(新規株式公開)して5年以内の小型株に投資しています。 ──具体的には何を買いましたか? 遠藤 例えば、VTuberプロダクションを運営するカバー(5253)は買いました。購入後に株価がけっこう上がりましたが、その後は下がってしまいました。小型株は短期間での株価の上がり下がりが激しいので、難しいと感じています。買った時の株価から、50%ほど下がった経験もありました。 ──損切りに抵抗はありませんか? 遠藤 はじめの頃は損切りは嫌でしたね。でも、いろいろな本を読んだり、投資で成功している人の話を聞くと、「損切りができないと投資で成功しない」と皆さん言っています。成功者の皆さんも、買った銘柄がすべて上がったわけではないということですよね。僕は、「買った銘柄が下がっているということは、ほかにより良い銘柄があるはずだ」と思って損切りをするようにしています。 ──IFAを活用した投資と自分での投資は、どう異なりますか? 遠藤 僕はやはり基本的にサッカーに集中したいので、一部は専門家であるIFAに任せたいと思っています。特に米国株となると、一人で調べるのは時間も労力もとてもかかるので。 一方で、自分でやる投資の大部分は、単純に債券を買って保有しておくとか、長期的な積立投資とか、簡単にできるものです。そういうふうに自分の資産を分けて考えています。 でも、すべてをIFAに任せっぱなしにしてしまったら、自分自身には投資の知識が身につかない。それが、自分でも投資している理由です。IFAに任せている部分も、「なぜ今、この株に投資しているか」を全部理解したうえで資金を投じたいので、IFAとの打ち合わせにもちゃんと僕が入って、いろいろ質問をして勉強しながら意思決定しています。 ──複数のIFAを活用しているそうですね。 遠藤 はい。日本のIFAにも複数お願いしていますし、最近はイギリスの同様の会社にも任せるようになっています。根底には、専門家に任せられるなら任せたほうがいい、という感覚的なものがあります。自分で投資する部分とはバランスを取りながらですが、今はいろんな人の話を聞くのが勉強にもなるし、IFAに任せたほうがリスクも低いと考えています。 ●投資する資産を分散するほか、IFAも複数に依頼! サッカーで周りの選手を活かすのと”分散投資“は似ている! ──株だけでなく投信や債券も保有されていて、複数のIFAを使うなど、さまざまなところで「分散」が効いていますね。 遠藤 たしかに「分散」は意識していますね。投資先を複数の資産に分散しておけば、その一つの価値が下がってしまっても、ポートフォリオ全体の一部分しか失わずに済みます。これはメンタル的にすごく楽な状態だと思うんです。 その点、日本人の多くは資産の大半を銀行に預けていて、これは「100%銀行にベットしている状態」です。全く分散できておらず、危うい状況なのですが、この感覚を持っている日本人は少ないと思います。 サッカー選手らしい考え方なのかもしれませんが、僕はボランチのポジション(中央に位置する守備的ミッドフィールダー)なので、ほかの味方選手の良いところをどうしたら活かせるか、いつも考えています。 それは実は、投資でもあまり変わらない。株や債券などそれぞれの資産の特長を考えて、最適なバランスで分散投資するのも、何人もの専門家の意見を聞いて「頭脳の分散」をするのも、サッカーと似ています。分散して投資することで、少ないリスクで利益を最大化することを目指しています。 ──そもそもですが、遠藤さんの投資の「ゴール」はありますか? 遠藤 サッカー選手を引退した後に、できるなら働かなくても、資産運用だけで配当を含めてお金が入ってくる状態をつくり上げたいです。そのためには、やはりすべてを銀行預金にするのはもったいない。 時間は武器です。若いうちから少しでも積立投資をして、時間をかけて自分で資産を作っていくのがすごく大事。その点で、自分が若いサッカー選手の見本になりたいですね。 ──昨年、世界的ビッグクラブのリヴァプールFCに移籍されましたが、「お金」関連で印象的なことはありますか? 年俸も大きく増えたようですね。 遠藤 プレミアリーグは平均年俸が高いですし、僕も移籍前と比べて倍以上にはなりましたね。 あと、投資の観点でいうと、リヴァプールはすごく堅実な投資家の集まりだと思います。ほかの名門クラブだと毎年のように選手の獲得に大金を使いますが、リヴァプールはそこまでお金を使わないのに、でもやっぱり強い。獲得した選手の活躍の度合いに対して、使った金額が見合っていたかという議論を、クラブの投資家たちがきちんとしているのだと思います。 ──投資というと「怖い」とかネガティブな印象を持つ人はまだ多いです。そんな人に伝えたいことは? 遠藤 一般の人もそうだと思いますが、僕は投資の知識のないサッカー選手が多いことを問題だと考えています。選手のキャリアは長くない。Jリーグでも1億円稼ぐ選手はいますが、なかには20代で引退して、実はお金に困る人がいるんです。知識があれば怖さは減りますし、資産運用を始めやすくもなると思います。 みんなそれぞれ収入は違いますが、月1000円でも積立てようと思える人が、投資で成功するのでしょう。もし「投資に割くお金がない」という人がいれば、必要のないものにお金を使っていないか、真剣に考え直してみることをおすすめします。
ザイ編集部
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