「セクシー俳優の真似を…」ボイトレ男性講師が“卑猥なレッスン” 被害男性は「上達するんだと思い我慢した」
●「エロレッスン」と命名
弁護側の冒頭陳述によれば、こういったレッスンのことを被告人は「エロレッスン」と呼んでおり「どのようにしたら、変化や表情が乏しい生徒が感情を込めて歌えるようになるか」を考えていたという。 「Aさんは声帯の筋肉が硬く、地声か裏声どちらかしか出せず、中間を出したいと言われていた。歌唱力向上のためカリキュラムを変更してほしいと言われていた。レッスン開始当初、被告人はいわゆるオネエキャラを売りにしたレッスンスタイルを取っていた。 下ネタや冗談の中で、いわゆるエロレッスンを『こういうのがある、やってみないか』と伝えた。これまでに断ってきた生徒もいる。被告人は当然、断った生徒にエロレッスンをするわけではなく、同意のあった生徒のみに行っていた」(弁護側冒頭陳述より) こうして2021年6月、被告人は「セクシー俳優のような声を出せるような練習をしてほしい」と課題を与えたというが、「思うような成果が見られなかった」(同)ことから、同年8月、2回にわたる『エロレッスン』を行うことにしたという。 Aさんによれば、8月19日のレッスンでは「声帯の開け閉めの練習を行い、被告人が服の上から腹や下腹部をなぞってきた。下腹部に触れると声帯を絞めるように言われ、セクシー俳優のように快感を覚える表情をすることが必要だと言われた」(Aさんの調書より)ため我慢してレッスンを受けた。「本当に効果があると思っていた」(同)からだという。 そして次の8月26日には、被告人はローションを用いて下腹部を直接触りながらのレッスンを提案してきたのだそうだ。 「話を逸らそうとしたが、被告人はローションを使い手を動かしてきた。『何やってんですか、勘弁してください』と言ったが、ここまで先生が言うのだから、上達するんだ、変われるんだと思い我慢した。後日友人に打ち明け、家族にも相談し、警察に申告した……」(Aさんの調書より)
●「下腹部を触る必要は全くなかった」
被告人は効果を感じているからこそ、Aさんにエロレッスンを施したという主張であるが、証拠として採用された『音楽大学教授への聴取結果』には、こうあった。 「被告人の行ったレッスンは歌唱力向上に必要なものではなく、下腹部を触る必要は全くなかった」 エロレッスンにわいせつな目的は本当になかったのか。公判では今後、Aさんの証人尋問が予定されている。