人の生死と向き合う“重み”…女子大学生が見て、聞いて、感じた能登の被災地の今 ただの「怖い」から行動へ
光稀さんは、“取材を続けられるのか”と、不安にかられていた。 加藤光稀さん: 「(Q聞きたい事は聞けた?)大丈夫です」
加藤光稀さん: 「人が亡くなったり、そのつながりも失われたり、日常が壊れるのを目の当たりにしたから。全部が想像を超えていて、もっと怖くなりました」
■「聞きづらいことにも踏み込めるようになりたい」
国の伝統工芸「輪島塗」も地震により大きな被害を受けていて、半年がたっても再開のめどが立ってない工房が数多く存在する。 2人は、輪島市にある「輪島キリモト」で作業する輪島塗職人・今瀬風韻(いませ・かざね 29)さんの工房を訪ね、話を聞いた。
今度は、光稀さんが取材をすすめていく。 加藤光稀さん: 「輪島塗がこの地震でなくなるっていう心配はありますか?」 今瀬風韻さん: 「職人の数とかやりたくてもできない人はたくさんいるので、今はまだ輪島のことを意識してもらってますけど、この先1、2年たったら輪島が忘れ去られてしまうんではないかという思いがあるので、とにかく覚えていて欲しい」 加藤光稀さん: 「地震の前と後で感じるものは違いますか?」 今瀬風韻さん: 「この仕事をできることが、当たり前のことじゃないと感じるので、もっとこの技術をどんどん後進に繋げていかなきゃいけないなって責任感をすごく感じています」
光稀さんは、インタビューを終えて外に出ると、泣き出してしまった。 加藤光稀さん: 「会話が何回も止まっちゃって。コミュニケーション取れる状態で、聞きづらいことにも踏み込めるようになりたいです」
変わっていない被災地への戸惑いと、聞かなければいけないことが聞けないもどかしさに、心は揺れていた。
■自分たちの目で見て、聞いたからこそ、感じたこと
石川県珠洲市の緑丘中学校の体育館では、地震から半年が経っても、30人が避難所生活を続けている。
「生死に関わることが聞けなかった」と話していた千沙さんは、被災者に気を遣いながらも、質問を重ねていく。 加藤千沙さん: 「いつからここに来られましたか?」 被災者の女性: 「1月1日からです。みんな逃げて逃げてって。津波で亡くなった人もいる」 被災者の男性: 「命さえあれば後で何とでもなります。挟まってる人をね、どうやって出そうとかね思うんですよ」