外遊びが減ると低下するのは運動能力だけではない--イノベーション人材の育成に必要な「遊び」
為末:アメリカのように掛け持ちでスポーツをするのは「マルチスポーツ」と呼ばれていて、私もそのほうがいいと思っているのですが、日本ではどちらかというと早い段階から1つの競技に特化していく「早期教育」が主流です。 窪田:幼少期から1つに絞ることで、トップ選手を育てようという発想なんですね。 為末:早く始めればそれだけ早く上達するので、10代でピークを迎えるには非常によくできたシステムではあります。ただ、長期的に伸びていく選手を育成したり、スポーツが得意ではないけれど好きな人を増やしたりするのにはあまり向いていません。
スポーツをしようと思ったときに、もっと遊びに近いものがないと、嫌いになってしまう人が出やすい。日本はそこが弱いですね。トップ選手を育てることも大事ですが、より多くの人がスポーツを始められるようにサポートしていくことも重要だと思っています。最近では少しずつですが、マルチスポーツを取り入れようとする動きも出始めています。 窪田:なるほど。たくさんの人にスポーツに興味を持ってもらうためにも、遊び的な要素を取り入れる必要があると。外遊びの話にもつながりそうです。次回、続きを聞かせてください。
(構成:安藤梢)
窪田 良 :医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO/為末 大 :元陸上選手