ラグビーW杯開幕まで1年。闘将リーチが語る日本のベスト8進出に必要なこと
選手の力は、プレースタイルの構築にも関与する。 複層的な陣形と豊富な運動量をベースに攻め続けていた前回大会時と違い、現在は選手がまんべんなく左右に散って田村優(キヤノン)、ラファエレ ティモシー(コカ・コーラ)らがスペースにキックやパスを配す。ジョセフが強調する「スマート」というスタンスが反映されているが、そのスタイルを支えるプレーの精度チェックなどには選手たちがより目を光らせている。 練習のボリュームもある程度は落ち着き、前体制時にあった「首脳陣が頻繁に一部選手へプレーに関するメールを送る」などのエピソードはあまり聞かれなくなった。リーチの説明。 「前回のワールドカップを経験したメンバーが一生懸命やっています。ジェイミーやブラウニー(トニー・ブラウンアタックコーチ)が大体のこと(ゲームプラン、練習計画、戦術など)を落としてきて、それを選手がどうよくしていくかについて理解したり、考えたり、自分たち同士でコーチングをしたりしています」 ジョーンズ時代に鍛えたフィットネス、フィジカリティの遺産が摩耗したであろう2017年6月には、前述通りアイルランド代表に2連敗。しかし今年6月はイタリア代表、ジョージア代表との3連戦を勝ち越し、自信を取り戻しつつある。 その背景では、コンディショニングの管理体制が見直されていた。サイモン・ジョーンズS&Cコーチが、代表活動のない時期も含めてフィットネステストを定期的に設定。テストの実施時期が国内トップリーグの開幕前であることなどには、一部チームから疑問の声も出ている。しかしワールドカップに向け、リーチは主将の立場でこう手綱を締める。 「もっと走れないといけない。力をつけないといけない。プレッシャー下の(プレーの)精度を上げなくてはいけない」 本番が間近に迫ったいま、特別強化体制が敷かれている。従来なら1月までのトップリーグは今季、12月に閉幕。ここから選手は、休養と肉体強化の時期を経て来年2月からのスーパーラグビーに挑む。6月以降は宮崎、北海道での直前合宿や大会前最後のテストマッチで総仕上げをおこなう。 国内リーグ開催期間中も代表活動を優先できる「ラグビーワールドカップトレーニングスコッド」には、ツイ ヘンドリック(サントリー)、山下裕史(神戸製鋼)ら長らく代表から離脱していたイングランド大会組も相次ぎ戻っている。2017年度トップリーグ新人賞に輝いた姫野和樹(トヨタ自動車)のような2016年度以降に台頭した若手、身長2メートル超のグラント・ハッティング(神戸製鋼)のようなこれから代表資格取得を目指す海外出身選手との共存、競争が注目される。 ここでリーチが気になることのひとつは、今度の対戦日程だという。