ラグビーW杯開幕まで1年。闘将リーチが語る日本のベスト8進出に必要なこと
今回は2017年5月の組み合わせ抽選会により、9月20日の開幕戦のカードが「日本代表対ヨーロッパ地区1」と決められている。「アジア代表」として初戦から優勝候補との試合が課されたイングランド大会時と違い、第三者から快勝を期待されるゲーム――今回でいえばロシア代表戦――が最初に組まれたのだ。 そのことでかえって気を遣う点が増えたと、リーチは警戒する。 「1試合、1試合を大事にしないといけない。先を見すぎてしまうと、今度は僕たちが負けた南アフリカ代表みたいになっちゃう」 しかし、「このチームのよさは柔軟性があること」とも続ける。 「(代表とリンクする)サンウルブズでは相手によってサインが変わっているけど、それを覚える能力が高い」 予選プールで上位争いをしたいアイルランド代表やスコットランド代表とは、負けたとはいえそれぞれ2017、16年に対戦済み。「未知との遭遇」という不安要素はない。約1週間おきにゲームが予定される本番中、持ち前の「柔軟性」を活かして効率的な準備をおこないたいだろう。 ちなみにイングランド大会時は、ジョーンズらが随分と前から各カードの戦い方を設計。日本大会の各ゲームへのプランニングは「いまのところ(落とし込まれて)ないです」とのことだ。イングランド大会以前を知るファンにとっては、心配な点のひとつかもしれない。 グラウンド外では、自国開催大会ならではの弊害に注意したいとリーチは言う。慣れ親しんだ地で戦えるメリットを認識する一方、冗談交じりにこうも話していた。 「試合に向けて準備しないといけないのに友達がホテルに会いに来たり、『チケットが欲しい』と言ってくる人が出てきたりするかもしれない。そういうことについては、予測しないといけない」 イングランド大会時は、序盤戦の頃に荒木香織メンタルコーチが現地入り。選手や首脳陣の精神に安定をもたらした。日本大会でもメンタルコーチが必須かもしれず、リーチも「必要は必要。日本開催は考えるだけで楽しみではあるけど、ちゃんとやらなきゃいけないというプレッシャーはあるから」と認める。 もっとも、ベストな人材がいるかどうかについて、リーチは「まだ探してると思います」とするのみ。ジョセフとの連携が不安視される強化委員会、もしくはジョセフが比較的信頼を寄せているサンウルブズ陣営の調査能力に期待がかかる。 トップリーグが中断される今年11月、日本代表は世界ランク1位のニュージーランド代表、さらにはジョーンズが率いるイングランド代表と敵地でのテストマッチをおこなう。また、そのイングランド遠征では、開幕戦で対戦するロシア代表とのテストマッチも24日に組まれることになった。 「そこで何を強化しないといけないかがだいぶわかりやすくなる。過去3年間でやってきたことをすべて出して、新しい課題を出す」とリーチ。ワールドカップ日本大会まで残り1年。チームの現在地を知り、課題を浮き彫りにするために重要なテストマッチとなる。 (文責・向風見也/ラグビーライター)