【毎日書評】「モヤモヤした気持ち」はなぜ生まれるか? いつもモヤモヤしがちな人の思考のしくみ
自分にとっての“心地よい状態”を再定義する
世の中には「ラクにうまくいっている人」と「そうでない人」、「スッキリ過ごしている人」と「モヤモヤしている人」がいます。この点に関しては、ことばの定義が違うのだと著者は主張しています。 例えば、モヤモヤを抱えたクライアントさんに多いのは「いい人・優しい人」に対するズレた定義です。モヤモヤしている人の「いい人・優しい人」の定義は、相手の望み通りに動く人、NOを言わない人。 また、我慢してまで他人に合わせるのを頑張っている人です。 さらに、モヤモヤしている人は、「完璧な人」の定義を、「何でも自分でミスなくこなす人」だと思っていることが多いものです。(188~189ページより) とはいえ人間にミスはつきものなので、この定義にはズレがあるわけです。しかしそのズレに気づけないと、自分への評価が低くなり、「自分はダメ、他人はスゴイ」という捉え方になってしまうかもしれません。 また、「失敗やできないことがあったらダメ」というような厳しいジャッジを自分に押しつけながら過ごすことになるので、「ありのままの自分」とはかけ離れた毎日を送らなければならなくなるでしょう。 そして、私たちは一人で生きているわけではありません。 例えばズレた完璧の定義によって「もっと頑張らないと!」と思ってしまっていると、振り分けられた仕事は全部笑顔で引き受ける、もちろんミスもダメ──などと、どんどんズレた完璧のタスクが溜まり、オーバーワークになるケースがあります。 しかし、自分も相手も“お互いが心地よい”状態を完璧の定義にするといかがでしょう?(189~190ページより) たとえば、忙しいときに別の仕事を頼まれたとしましょう。そんなときに無理をして引き受けると、のちのちオーバーワークに潰されてしまうかもしれません。しかし、それでは本末転倒です。そこで、「いまは難しいのですが、明日でもいいですか?」とひとこと添えてみる。あるいは、「〇〇さんにお願いしてみよう」と誰かを頼ってみる。 そうやって、いろいろな選択肢を探してみれば、“抱えすぎ、追い込まれてモヤモヤ”な状態にならずにすむわけです。(188ページより) モヤモヤは苦しむためのものではなく、「本当の自分」を伝えてくれるありがたい存在でもあると著者は述べています。そうした考え方を踏まえたうえで本書を読んでみれば、いつしかモヤモヤを解消できるかもしれません。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! Source: ワニブックス
印南敦史