U-18W杯の19球降板に見えた佐々木の不安点…ドラフト1位指名は最大4球団に減る?!
野球のU-18W杯のスーパーラウンド第2戦が6日、韓国で行われタイブレークルールの延長戦の末、日本が韓国に4-5でサヨナラ負けを喫して決勝進出が難しくなった。先発を託されたのはプロ注目の163キロ右腕、佐々木朗希(大船渡高3年)。だが、血マメの影響でわずか19球で1イニング降板するアクシデント。潜在能力を発揮することがないまま、これが高校生活のラスト登板となる可能性が高くなった。満足に最終チェックのできなかった各球団の評価に影響を与え、今秋のドラフトで佐々木の1位指名から撤退する球団が生まれる可能性を指摘する声も出てきた。
ユニホームに血の跡が点々
その指に異常が発生していた。 重要な韓国戦の先発に抜擢された佐々木の初球は149キロ。ボールはひっかかっていた。カウント2-1から153キロのストレートをインサイドへ投げ込むと、ここまで打率.429だった韓国の左打者イジュヒョンは、その速さに戸惑い詰まった。ショートゴロ。だが、この日の佐々木のボールには、目が飛び出るほどの球威はなく、1球、1球、フォームバランスもリリースポイントもバラバラだった。 続く快足の2番打者にはストライクが入らない。ボールが4つ続き歩かせた。3番のパクチュホンにもボールが3つ。やっとストライクをひとつ取ったが、これも逆球だった。レフトフライに打ち取った後に永田監督がマウンドに駆け寄った。 ユニホームのズボンに血のような赤い点々がついていた。8月26日に神宮で行われた大学日本代表との壮行試合で中指に血マメを作り、1イニングで緊急降板。この日まで、その回復を待って登板を控えてきたが、また血マメが再発したようだった。マメの様子を確認する永田監督に佐々木は続投を志願した。 6試合で7盗塁を決めている走者に二盗を許すが、4番のチャンジェヨンにカウント2-1から153キロのストレートを外角に決めて追い込む。続くフォークが抜けてフルカウントになったが、最後はインハイへ149キロのストレート。韓国の“二刀流”の高校2年生を空振り三振にとって無失点に切り抜けてマウンドを降りた。 わずか19球。2回のマウンドに佐々木が上がることはなく、ベンチへ戻ってきたとき、右手の中指には絆創膏が貼られていた。 元ヤクルトの名スカウトで知られる片岡宏雄氏は、この日の佐々木に厳しい評価をした。 「軸足がプレートを離れるタイミングがバラバラだった。だからコントロールがつかない。神宮での壮行試合の登板でも感じていたが、佐々木は投球にタメがない。1、2の3のタイミングで“の”部分がない。投げ急ぐのだ。非常に気になる。マメの影響からかボールに指がかかったストレートも少なかった。プロに入っても出てくるまで時間がかかるなという印象がより強くなった。それと気になるのが指のマメだ。ボールが指にかかる速球投手が、マメと付き合うことは宿命だが、体質的にできやすいという選手もいるからだ。スカウトは、その調査も必要になってくるだろう」