1億2000万匹のペット社会 マナー浸透せずトラブル多発、毒殺事件も【洞察☆中国】
市場7兆円規模へ、急拡大の背景は?
◆日中福祉プランニング代表・王 青 中国の都市部ではペットの数が急増している。先日、香港メディア「鳳凰網」が「中国ペットの数が中国の人間の4歳以下の乳幼児数を上回る」「1億世帯がペットを贅沢(ぜいたく)に飼う時代に突入」との見出しで中国の現在のペット事情を報じた。それによると、中国の犬や猫のペットの数は、2023年に1億2000万匹を超え、ペットを飼う世帯数が1億を突破した。この数は今後、さらに増え続けると予測する。 【別カット】中国・上海で飼われているペットの猫 「中国ペット産業白書2023-2024(消費者レポート)」では、近年ペット関連用品市場が大きな成長期を迎え、ペットカートやペットフード、玩具、さまざまなペットケア用品、消臭用品などの売り上げが急上昇しているという。そして26年には、中国のペット市場規模が3500億元(約7兆円)に達すると予測した。この規模は、中国の家電市場の半分に当たる計算になる。そのため、ペット関連の新規企業が爆発的に増加。ペットの病院や美容室は当然のことで、ペット専門の漢方の病院や写真撮影スタジオ、葬儀社などもたくさん現れてきたという。 中国大手ECサイト京東(ジンドン)が昨年夏に発表した調査では、ペットを飼っている世帯の中で、40歳以下が7割を占めていた。25歳以下の「Z世帯」の増加が目立ち、独身の女性が圧倒的に多いと報告された。 中国国内の専門家は「ペット経済の台頭は、現代の若者の結婚観や出産観と密接な関係がある。結婚しない、結婚しても子供を産まない若者が増えている。配偶者や子どもの代わりに、心の空白を埋めるためにペットを家族の一員として迎えている」と解説する。 筆者の中国にいる女性の友人にも、犬か猫を飼っている人が多い。「毎日仕事が終わって家に帰り、玄関で出迎えてくれる猫を見ると疲れが飛び、ストレスが解消する」「休日は猫と一緒に過ごす時間は至福だ」と幸せそうだ。SNSに頻繁に愛猫や愛犬の写真を披露して楽しんでいる。 同時に、高齢者人口の増加もペットの飼育に拍車を掛けた。老夫婦2人の世帯にペットがいれば、毎日の散歩で健康促進につながるし、精神的な癒やしにもなり、良いことずくめだ。